「小野田寛郎は29年間、ルバング島で何をしていたのか」斎藤充功

 太平洋戦争終結後約30年もの間、フィリピン・ルバング島のジャングルに潜み、「残置謀者」として最後は3人の部下とも死別(ひとりは投降)しながらも、救出されるまでの1年あまりをたったひとりで闘い、命令を守り抜いた小野田寛郎少尉。
 かつての上官から命令解除を受け、1974年に帰国した彼は、「帝国軍人の鑑」として一躍、英雄視された。
 帰国から41年、2014年1月16日に91歳で死去した際には、日本陸軍最後の兵士の死を諸外国のメディアが大きく伝えたという。
 生前、2008年に小野田へのインタビューを試みた著者は、思いがけない一言を聞いていた。
 「ルバング島のことで、誰にも話していないことがあるんだ・・・」
 ここで小野田夫人の横槍が入り、突如インタビューが中止になったために、秘密の内容はわからないまま小野田は逝った。
 はたして小野田寛郎が秘密にしていたこととは何だったのか?
 彼がルパング島に残置した本当の理由は? 本当に敗戦を知らなかったのか? 
 数十年もの間、肉親や捜索隊の呼びかけに応じなかったのかはなぜか?
 創られた英雄・小野田寛郎の“ルバング島の真相”に迫るアンダーグラウンド・ノンフィクション。

 ふむふむ。なかなか。
 感想の前に、小野田寛郎少尉帰国にまつわる事柄のおさらいを少々。
 和歌山県出身。中学校(現海南高校)卒業後、中国の商社に入社し、昭和17年7月に徴兵されました。
 中国戦線で従軍し、昭和19年1月に上官の薦めで予備士官学校に入校。おそらく中国語が話せたためでしょうか、在学中に我が国唯一のスパイ養成学校であった陸軍中野学校二股分校に入学。ここはあらゆる破壊活動や、宣撫工作を教授する秘密の機関です。昭和19年12月に卒業。フィリピンに派遣され、方面軍参謀部情報班から、ルバング島の警備隊にゲリラ指導をせよとの命を受け、昭和19年12月30日にたったひとりで機帆船でルバング島に渡りました。
 ルバング島は、マニラから南西150キロに位置し、島の大きさは東西約10キロ、南北約27キロ。
 当時、ここには第8師団の警備隊50人他海軍設営隊など約200人の兵士がいましたが、武装は貧弱でした。
 小野田はただちに司令部に連絡し、重機関銃や弾薬、手榴弾などを送ってもらいました。
 しかし、昭和20年3月からの米軍の上陸作戦で、ルバング島守備隊は四散。20名程度になった生き残りは山中に分散潜伏を強いられました。小野田と行動を共にしたのは、3人。彼らは、そのまま終戦後もジャングルに留まりました。
 昭和25年6月、赤津一等兵が投降。昭和29年5月、島田伍長がフィリピン軍レンジャー部隊に射殺されます。このとき、小野田寛郎の戦死公報も発布されました。昭和47年10月、小塚一等兵が地元警察官に射殺され、小野田は遂にひとりになりました。
 1970年代の延べ1万7270名の捜索隊による呼びかけにもかかわらず接触できなかった小野田を、発見説得したのは意外な人物でした。世界中を放浪しているという謎の青年・鈴木紀夫です。1980年代に雪男捜索中遭難し37歳で亡くなることになる鈴木紀夫は、ルバング島に着いてわずか5日で小野田に接触し、帰国を呼びかけました。このとき小野田が「命令を解除されるなら」と応えたのを受け、日本政府が救出隊を派遣し、中野学校の教官で小野田の元上官である谷口義美元少佐によって小野田の命令は解除されました。まずフィリピンでセレモニー。小野田はマルコス大統領に軍刀を渡しました。そして1974年3月12日の29年ぶりの帰国となったのですね。
 一躍、小野田ブームが巻き起こります。しかし、帰国後の猛烈な環境の変化で心身ともに疲弊した彼は、日本の生活に嫌気がさし、親類が経営するブラジルの牧場へと雲隠れしました。
 以後は日本とブラジルを行ったり来たり、富士山麓に自然塾を開校し青少年の健全育成に務められたり、私の知っている、たまにテレビで観た小野田寛郎になっていきました。
 ブラジルまで彼を追いかけた小貫町枝さんと、昭和51年サンパウロの教会で結婚式を挙げています。

 まあ、ネタバレはしないでおきましょう(・∀・)
 と言いたいところですが・・・うーん、どうかなあ。可能性としてはあるのかなあ。
 それでも六割五分くらいは、信じられるのでしょうか。本書のネタ、がね。
 確かに、謎の鈴木紀夫がふらっとフィリピンに行ってさくっと小野田に会うことができたのは怪しいと思います。
 偶然が重なっても、そんなにトントン拍子にいくでしょうかね。いくら旅慣れてるとはいえ、当時のフィリピンでしょ。
 ですから、黒幕の存在は確かにあったと思う。すると、事件の落とし所というか、何か秘密めいた謀議が日本とフィリピン、あるいはアメリカも絡んで何やらヒソヒソとあったであろうことは想像に難くありません。
 騒動後に日本政府がフィリピンに供与した3億円も、何やら別の意味があったかもしれません。
 山下の財宝ではありませんけども、戦争末期に日本軍の軍票が現地で通用しなくなって、前線軍部の物質調達用に密かに鋳造されたという「まる福金貨」も終戦時のフィリピンには実在したでしょうし、緒戦の東南アジア侵攻で得た戦時略奪品にブラックゴールドがあったことも本当に思えます。戦争ですから。
 問題はその量でしょうね。山下の財宝というのは、こういうのが元になって膨らんだお伽話なのでしょうねえ。
 私としては、あの劣勢のフィリピン戦線において、今の貨幣価値で何兆円にもなる金のインゴッドをどこかに隠したまま負けたなんてちょっと考えにくいと思います。少量ならば、絶対にあったでしょう。金のインゴッド持って逃げられないんだから。
 まあ、確かに小野田さんの潜伏には謎が多い。彼自身にも謎が多い。もう解けないでしょうけどね。
 今日は暇なのでもうちょっとダラダラ書きたいんですが、あまりネタバレしてもね。
 興味のある方は、読んでみてください。


 

 
 
 
 
 
 
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