「百年文庫 夢」ポルガー/三島由紀夫/ヘミングウェイ

 百年文庫ナンバー42。「夢」。
 もうかなり飽きてきました。
 これ、やっぱり編者おかしいな。作品の選び方が独善的に過ぎると思います。
 二百名山のように、次は二百年文庫という話がないのは、このアンソロジーが売れなかったせいもあるのでしょう。
 面白いのが少ないから、仕方がないですね。
 もうほとんど惰性で読んでいますが、死ぬまでに全部は無理だろうねきっと。かったるい(鼻ホジ)。
 まあしかし、本作はヘミングウェイの100ページくらいの中編入れてくれてたから良かった。
 前の2つは、何のこっちゃわかりませんでしたけどね(笑)
 腹が立つのは、テーマと作品の関連性に明確な縁が見受けられないということです。
 こればっかりは、読むもの誰にでも納得できるくらい単純なものでないと、意味が無いと思います。
 たとえば、ポルガーのは“士”や“落”がテーマでもいいと思いますし、三島のは“涙”や“水”でもいいでしょう?
 いや、だめかな?
 あんがい難しいのかもね・・・

「すみれの君」ポルガー(1873~1955)
 典型的なオーストラリア貴族で、骨の髄までの騎士であったルドルフ・フォン・シュティルツ伯爵は、並外れてのトランプ好きで山のような借金があり、女友達に高額な品物をどんどん贈る浪費家でもあった。贈り物にはきまってパリ特産の香水「パルムのすみれ」が添えられており、かつまた淡青色の瞳のせいで彼はその筋の女たちから「すみれの君」と呼ばれていた。
 しかしルドルフはトランプ勝負でついに破産し、貧困の谷間に転落、愛用の白手袋と片メガネ以外なくなってしまう。
 惨めな生活を送るルドルフのもとへかつての昔なじみの女性がたずねてきたのは、彼がもう晩年のころだ。女性はウィーンオペラ舞台の名女優だった。しかし身ごもったまま婚約者が死亡し、生まれてくる子が私生児になることを避けるため、ルドルフを利用して偽装結婚しようというのである。ルドルフは、偽装結婚とはいえ晴れの結婚式だというのに贈るべき指輪も持たずどのつら下げて花嫁の前に出られるかと考える。

「雨のなかの噴水」三島由紀夫(1925~1970)
 人生で最初の別れ話は、少年(明男)がずっと憧れていたことだった。「別れよう」というセリフが言いたいがために彼は、少女(雅子)を口説き落とし、情熱を傾けて愛を注いできたのである。一歩、大人の男になった気がした。しかし、いざ別れを告げられると少女(雅子)は号泣し、少年(明男)は持て余す。これが現実なのである。
 少年と少女から明男と雅子という風に、名詞が切り替わる場面はやはり巧いなあと思いましたが、話自体に共感もできないし、第一面白くありません。まあ、この人はこんなもんでしょう。
 巻末の解説で初めて知ったんですが、三島由紀夫って祖父も父も官僚の家柄で、本名は平岡公威っていうんですって。
 すごい名前ですね。公威(きみたけ)=公の威ですよ(笑)

「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」ヘミングウェイ(1899~1961)
 本編の、メインディッシュ。100ページという、百年文庫の作品としては最長の部類。
 結婚して11年になるアメリカかイギリスの裕福な夫婦が、アフリカのサバンナに狩猟旅行をした際に起こる出来事と事件の話なんですが、話の筋はともかく、私的に気になったことが2つありました。偶然でしょうけどね。
 ひとつは、夢とライオン。これはヘミングウェイの代表作である「老人と海」を読み解くキーワードでした。夢とライオンとくれば、私は老人と海を思い出します。本作で登場する老ライオンは銃撃にもめげず勇敢に立ち向かってくるのですが、何やらカッコいい。
 ふたつ目は、何ヶ月か前に、アメリカ人の歯科医が狩猟旅行でジンバブエで人気者のライオンを射殺した事件がありました。それを思い出しました。この小説は、1936年に発表された小説です。作中に「撃ってもいいライオン」という言葉がありますが、当時でもやはり今よりだいぶ緩いにせよ狩猟にはマナーがあるようです。
 本筋では、ライオンの銃撃に失敗し、とどめを刺すために入ったブッシュで瀕死のライオンに反撃されて逃げ惑ったマカンバー。彼に対して妻のマーガレットは愛想を尽かしたような態度を取りました。この恥ずべき一件から名誉を挽回するため、翌朝のバッファロー撃ちで起死回生の活躍を見せるマカンバーでしたが・・・
 事故ですよ。でもラストのウィルソンがしおれる夫人に言葉を浴びせかける場面は圧巻でしたね。彼は何を期待していたのでしょうか? それとも・・・


 
 
 
 
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