「百年文庫 瞳」ラニアン/チェーホフ/モーパッサン

 やっと40作目、百年文庫のテーマは「瞳」。
 瞳というのは、そうだね、二人称、三人称的な言葉でありますね。
 自分の瞳がどうたら言わないでしょう、自分の場合はあくまでも「目」ですよ。
 つまり「瞳」というのは、あなたの、君の、彼女の、彼の、あるいは子供たちの「目」のことであり、それはすなわち夢や希望、あるいは愛や信頼、畏敬や恐怖を現すとともに、その「瞳」を見つめるあなたを映す鏡であるとも云えるでしょう。
 というような感じで集められたと思われる、3篇。
 アメリカ、ロシア、フランス。
 ちなみに、栞の色は群青だね。テーマが「瞳」で栞は群青、とはなかなか趣味がいいのか悪趣味なのか。
 1作目はその存在が大人たちの生活を変えた少女の話(罪なき無垢な瞳が大人の心を洗う)、2作目は大人たちのいない夜に夜更かしをする子供たちの話(瞳ランラン)、3作目は齢が自分の半分にも満たない青年に恋をしてしまった老嬢の切ない物語(いくつになってもあなたを見つめる瞳は変わらない)、という感じ。
 非常に残念なのですが、どれもイマイチでしたな。
 3作目のラストだけ、翻訳物には珍しくウルッとくるシーンがありました。接吻のところ。それが収穫。

「ブロードウェイの天使」ラニアン(1884~1946)
 舞台はブロードウェイ。歳は60,競馬のノミ屋をしている「ベソ公」は、いつもなにかあるたびにベソをかき、ケチでろくでなしのグズある。ある日、馴染みのレストランに、ベソ公が小さな女の子を連れてきた。ここ4,5日で顔なじみになったノミ屋の客が賭金の担保に置いていったのだという。
 レストランの客たちは少女をマーキーと名付けた。ベソ公はマーキーのためにアパートを借り換え、フランス人の子守役を雇い、そのうちに斜に構えていた顔つきまで変わってくる。愛らしくダンスの好きなマーキーは、お伽話のお姫様のようで、ベソ公どころかブロードウェイの顔役まで和ませる存在になる。

「子供たち」チェーホフ(1860~1904)
 うるさい大人たちが今晩は出かけていない。本当は子供は寝る時間だが、ワクワクした子供たちが寝るわけない。瞳を輝かせて食堂に集まった子供たち、9歳のグリーシャを筆頭にその妹で6歳のソーニャら5人は、ロトー遊び(トランプ)に興じる。
 1コペイカ銅貨を賭けて、子どもたちの夜会が始まる。

「悲恋」モーパッサン(1850~1893)
 乗合馬車の男女7人。暇をつぶすために振られて老画家レオン・シュナルが語り出した。
 彼は若い頃は非常な美男子で、女たちからひどくモテたという。
 しかし彼の口から語られたのは、一生のうちでいちばん悲しいという恋の物語だった。
 それは彼が25歳のとき、ノルマンディ周辺で放浪をしながら画工修業していたときだった。
 ベヌヴィル村で唯一の旅人を泊める農家に、彼の他にただひとりの宿泊客である50歳くらいの老イギリス嬢がいた。
 彼女の名はミス・ハリエット。ミイラのように非常に痩せているハリエットは、風変わりで、村中に新教のパンフレットを配って歩き(旧教の司祭にまでも!)、デモニアク(悪魔につかれた女)と呼ばれていた。もう6週間もこの村に滞在しているという。
 レオンも彼女を影でデモニアクと呼び、親しくなる努力を諦めていたが、あるとき彼が村外れで絵を描いているときに彼女と出会い、彼の絵にに感心したハリエットと言葉をかわして次第に親しくなっていく。
 しかし、それは思いがけない悲恋の幕開けだった・・・


 
 
 
 
 
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