「百年文庫 賭」スティーヴンスン/エインズワース/マーク・トウェイン

 百年文庫ナンバー36のテーマは「賭」。
 イチかバチか。伸るか反るか。天国か地獄か。
 帯に“物語の楽しさに胸がおどる三篇”とあるように、ドキドキしながら読み始めましたが・・・
 まったく、胸、おどらず(´・ω・`)
 ほんと、ポプラ社の作品選考はムラがあるわ。
 限られたテーマに沿っての選考だから仕方ないとも云えますが、テーマが「賭」であるならば、ギャンブルものをひとつは入れてもらいたかったですね。西洋にはトランプがあるし、中華には麻雀があるでしょ。日本には花札もあります。
 世界中というか、人間というのは(特に男性)、賭けが好きなのですよ。
 それなのに、物語のいったいどこに賭というテーマが存在したのか理解に苦しむようなのを並べられてもね。
 そりゃ、ある程度はわかりますよ。
 1作目は行き当たりばったりの殺人が賭けで、2作目は結婚の相手、3作目はテーマうんぬんより前に、よくわからないファンタジーのようなお伽話です。
 1と2はまあいい。3作目。どこが面白いんですかね。これで胸がおどる人がいるのでしょうか。

「マークハイム」スティーヴンスン(1850~1894)
 午後3時のロンドン。資金繰りに困っているマークハイムは、馴染みの骨董店を訪れ、店主を行き当たりばったりに刺し殺した。この瞬間に金を奪うことしか頭になくなったマークハイムは、階上で金庫を探す。ところが、やがて階段を上がってくる足音が・・・現れたのは、この世のものではない、悪魔の化身だった。化性のものは、生まれてこのかた36年、15年前までは盗むと聞いただけで飛び上がり、3年前までは人殺しと聞いただけで青くなったマークハイムが、こうして金に困って殺人を犯すまでに落ちぶれた彼の人生を皮肉めかして語り、この場からの逃走をそそのかす。
 この作家は人を殺したことがあるんじゃないか、と思うくらい殺人者の動揺ぶりが真に迫っています。読みどころはそこ。

「メアリ・スチュークリ」エインズワース(1805~1882)
 メアリ・スチュークリという麗しき乙女に、出会うなり一目惚れした21歳の私。すぐに結婚を決意する。ところが、婚礼の前日、ふとした拍子に知り合った初対面の婦人イライザと一緒にいるところを、かねて結婚に反対だったメアリの兄に見咎められ、勢いで決闘に相成った。ところが、決闘をする前にメアリの兄は誰かに殺されてしまった。こうなると、疑われるのは私である。私は無実の罪のまま逃げた。幸福の頂点から、逃亡者にして流浪の身、指名手配を受ける重罪人に成り果てた私を、イライザはロンドンに逃がしてくれた。そして私はイライザとの結婚を決意するが、しばらくしてメアリの兄を殺害した真犯人が捕まって村に戻ることになる・・・
 優柔不断な馬鹿の行く末。けれども、目の前の女性に対して心が揺れてしまうのは、男の性(さが)でもあります。
 冷静に考えれば判断できることなんですけどね。ましてや、結婚式の前ですよ。
 いま、ふと思ったんですが、この話には裏があるのかもしれませんね。だとしたら、面白いと思います。


「百万ポンド紙幣」マーク・トウェイン(1835~1910)
 ある大金持ちの老兄弟が賭けをする。使用されるのは、イングランド銀行が外国との特殊な取引のために歴史上2枚だけ発行したという百万ポンド紙幣。雑談をしているちに兄弟は、何の身よりもない外国人がロンドンに流れ着いて、百万ポンド紙幣1枚のほか一文の金もなかった場合、この男はどうなるかについての賭けをした。ひとりは餓死するといい、ひとりはそうならないと言った。だいいち、百万ポンド紙幣ではお釣りはもらえない。どころか人に見せれば警察を呼ばれて逮捕されるかもしれない。ふたりが選んだ“生贄”は、アメリカからの無一文の遭難者ヘンリー・アダムス。期間は1ヶ月。はたしてヘンリーは、百万ポンド紙幣1枚だけで生活することができるのか。
 思わぬオチまで行ってしまうこのお伽話。私はどうも好かないですね。アイディアはいいと思うのですが・・・
 ちなみに、10万ポンド紙幣というのは戦時中に9枚だけ実在したらしいですが、100万は知りません。




 
 
 
 
 
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