「医学のたまご」海堂尊

巻末に作者自身のあとがきがありますが、それによれば本作は中高生向けに書かれたものです。
ですが、日経メディカルという医療の専門雑誌に1年間連載されていたもので、当然読者のほとんどは大人だったはずです。
そして、「チームバチスタの栄光」から続く海堂作品を読み進めているならば、本作にも過去の作品に関連した人物が多く登場するので、読み飛ばすというわけにはいきません。
ただ、横書きなので慣れるのに少し時間がかかりますが・・・けっこう読み応えのある楽しい物語です。

主人公は中学生の曾根崎薫。
彼は「ジーンワルツ」の曾根崎理恵が自身の母(山咲。本作でも登場)を借腹として人工授精で誕生した双子のうちのひとりです。父は曾根崎伸一郎、世界的なゲーム理論学者。
たなからぼたもち的な理由で中学生でありながら、東城大学医学部の研究生となって、東城大学医学部総合解剖学教室に通うことになります。
実はこの曾根崎薫、勉学の出来は芳しくありません。
中学の同級生である三田村優一や進藤美智子の助けを借りながら、なんとか頑張ります。
ところが、レティノブラストーマ(網膜芽腫)に関する分子生物学の実験で驚くような結果を発見!!!
解剖学教室の藤田教授や助手の桃倉と連名で医学雑誌に論文を発表、一躍、時の人となってしまうのです。
ところがどっこい、現実でも小説でもそう物事がうまくいくはずがありません。
正反対の実験結果を証明した論文が別の雑誌に発表されるのです。
薫の論文はねつ造なのか。追いつめられる薫、緊迫感を増す解剖学教室の面々・・・
曾根崎伸一郎の格言は彼を救うことができるのでしょうか!?

さて、本作の時代設定なんですが、バチスタから十数年?経過しているようです。
田口が教授になっています(笑)
高階院長は学長に。如月翔子は小児科総合治療センターの看護師長に。
オレンジ新棟の救命救急センターは潰れたばかりか、東城大学医学部付属病院全体が一度潰れて再興されたらしいです。他にも「螺鈿迷宮」に関する意味深な記述もありました。(大昔の貝殻の残骸。跡地にガラスの城が建てられてまた壊れた)
そして最後まで気付かなかったんですが、佐々木アツシは「ナイチンゲールの沈黙」の小児科の入院患者でしたかね。
「道はいつも自分の目の前に広がっている」
海堂尊の創った桜宮市の世界もこれからもっと広がっていくのでしょう。

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