「世界をひとりで歩いてみた」眞鍋かをり

 人生をリセットしようとした29歳のとき、彼女は自由に飢えていた。
 「パリに行くぞ!」 決めたのは出発の1週間前。
 そして2010年1月1日、すべての仕事を放擲して憧れのパリへ!
 都内での電車の乗り方もろくに知らなかったという芸能人・眞鍋かをりの冒険が始まる。
 Twitterのフォロワー数60万を誇り、ブログの女王と呼ばれながらも、根本は愛媛の田舎出身の素朴なひとりの女性による、貧乏旅行でもなく贅沢なセレブ旅行でもない、等身大の女ひとり旅。
 
 なかなか楽しい内容ですよ。
 旅行好きの方も、眞鍋かをりファンの方も、どっちも楽しめると思います。
 私は両方。なんだっけ、ニキビのCMのときはヘビーローテーションだったので少し鼻につきましたが、テレビ大阪で「たかじんNOマネー」という番組があって、それのMCしているのを観ていっぺんに好きになりました。
 この方が一番輝いているのは、あの番組だと思います。
 嫌味じゃない程度に頭がいいですし、ベチャッとした、独特の顔をしていて可愛らしいですよね。
 なんでも大学の進学のために上京したすぐ、ひとりで行った吉野家を出たときにスカウトされて、右も左もわからないまま18歳で芸能界に飛び込んで10年。色々報道されていましたが、事務所と揉めたんでしたよね。
 そのときだと思いますよ、パリに行ったのは。2010年元旦だから・・・そのへんでしょ。
 結局リセットしたんですね。「たかじんNOマネー」も、「事務所なくなってもそんなん関係あれへんから」って、今は亡きたかじんが誘ってくれた仕事みたいですし。一時は大変だったんでしょうね。
 でもまあ、そのお陰でこの人は旅に目覚めることができました。
 厳密に云えばパリに行ったのは、仲良しの「お姉さん」がいたので“半ひとり旅”ですが、その後数か国は正真正銘のひとり旅を重ねていらっしゃいます。本書に掲載されているのは、パリ、ベトナム、ギリシャ、トルコ、そしてロス。
 芸能人は休みが不規則ですから、思い立った時のひとり旅じゃなきゃ無理でしょうね。
 それにこの方、上京してすぐひとりで吉野家に行ったように(当時の愛媛の西条に吉野家はなかったと思います)、好奇心が旺盛。本書を読んで私が感心したのは、女性旅にとって最重要課題である安全と冒険心のバランスが取れていること。ひとり旅は自己責任ですが石橋を叩いてばかりでも面白くありません。また友達とする旅行は楽しいですが、ただ楽しいだけですから、眞鍋かをりのような能力のある女性は息抜きも兼ねたひとり旅が向いているのでしょう。

 もちろん、危ない目にも遭っているようですがね。
 ホーチミンのぼったくりタクシーとか、トルコの裸のおっさんとか、5分に1回ナンパされたりとか。
 タクシーが一番危ないんだよ、眞鍋さん・・・と諭したいくらいに読んでて怖かったね。
 でも女のひとり旅はサバンナに放り出された仔鹿と同じで、自分は運がよかったということがわかってらっしゃる。
 ホントかなとも思いましたが、安全のために夜はウロウロしないのがマイルールだとか。酒飲みなのにね。
 危険レーダーというか、芸能人というのもあるだろうし、敏感なところがあります。これは旅人の才能。
 宿泊するホテルも、貧乏でもなければ贅沢でもない2万円以下くらいのところを自分で予約しています。
 必需品だと書かれていたiPhone。私のような古い旅人は、スマホ片手に旅しておもろいかと思いがちですが、その日のレートで計算できる為替アプリや、グーグルマップ、会話帳アプリなどは、非常に便利だろうし旅の荷物を減らせるし時間の節約にもなりますよね。なるほどと思いました。ちゃんと旅のプロになっていらっしゃるようです。
 そして本書でこの方さすがだと思ったのは、旅をすることによって色々な人間の価値観の多様性がわかったと。だから彼女は人を嫌いになることがなくなったというのです。人によって色々だということを旅で学んだんですね。
 これなんて眞鍋かをりがいかに優秀かということであって、私なんて何回旅をしてもこういうことは一切わかりませんでしたよ。

 そんな私も旅ネタをひとつ。今、日本人ダイバーが遭難して騒ぎになってるバリ島の海は私も危険な目にあったことがあるのですが、それはまあ今は大変だし後日に置いて、私が海外で会った最も印象に残った日本人女性のこと。
 場所は、カトマンズのジョッチェンという、当時は世界中のカス人間が集合するような所でしてね。
 私はある安宿で沈没していまして、同じ階の連中が使う共同シャワー室で毎朝クソをするヤク中のオランダ人がいて、私はお金がまったくなかったので、連中から小銭を集めて毎日ウンコを掃除していました。そんな場所に、ひとりの日本の女の子がやってきたのですが、これがまた全体が黄土色になっているというか、髪なんて天然アッシュになっていて、ゴーレムみたいになっているんですよ。土でできた人間みたいな。で、臭いがね、彼女の顔は忘れましたがいまだに忘れられないのは、体中から動物の死骸のような滅多に嗅げない腐臭が沸き立ってました。
 当時は中国人や韓国人の旅行者は少なかったので、私を日本人だと見て彼女は話しかけてきました。
 その話によると、どうやら1ヶ月半くらいシャワーを浴びていないというのです。
 バングラデシュからインドを通ってネパール!までやってきたというのですが、ゲストハウスのシャワー室で襲われそうになって逃げてから風呂に入るのやめたみたいなこと言ってましたが、どこまで本当だったのでしょう。
 少なくともバングラデシュからインドに通れたっけ? と私は訝しんだので、その話を覚えているんです。
 結局、同じ安宿に2日くらい泊まって、彼女は挨拶もなくそのままいなくなりました。
 どこに行ったんだろう、何者だったんだろう、そして泥と垢を落とした素顔は可愛かったのか?という謎のいくつかを残したまま・・・


 
 
 
 
 
 
関連記事
スポンサーサイト

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
カテゴリ
ミステリー (94)
ミステリー短編集 (17)
歴史ロマン・ミステリー (17)
冒険ロマン・ミステリー (15)
サイコホラー・ミステリー (15)
学園ホラー・ミステリー (14)
民俗ホラー・ミステリー (10)
政経・金融ミステリー (18)
ファンタジックミステリー (22)
近代・昭和ミステリー (14)
オカルティックミステリー (7)
青春・恋愛ミステリー (21)
医療小説・ミステリー (22)
伝奇小説・ミステリー (15)
時代人情小説・ミステリー (18)
時代冒険小説・ミステリー (19)
社会小説・ミステリー (15)
スポーツ小説・ミステリー (10)
アーティスティックミステリー (12)
海外ミステリー (28)
海外冒険小説・スリラー (17)
SF・FT・ホラー (26)
SF・FT・ホラー短編集 (14)
海外SF・FT・ホラー (18)
クライシス・パニックサスペンス (12)
警察・諜報サスペンス (31)
悪漢・犯罪サスペンス (30)
中間小説 (24)
青春・恋愛小説 (33)
家族小説・ヒューマンドラマ (31)
背徳小説・情痴文学 (14)
戦記小説・戦争文学 (19)
政経・金融小説 (14)
歴史・伝記小説 (23)
芥川賞受賞作 (19)
直木賞受賞作 (20)
文学文芸・私小説 (24)
海外小説・文学 (13)
文学アンソロジー (55)
歴史・伝記 (30)
戦史・戦記 (31)
海軍戦史・戦記 (153)
物理・宇宙 (26)
生命・生物 (38)
アンダーグラウンド (47)
事件・事故 (40)
世界情勢・国際関係 (25)
スポーツ・武術 (24)
探検・旅行記 (25)
随筆・エッセイ (30)
月別アーカイブ
プロフィール

焼酎太郎

Author:焼酎太郎
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
最新トラックバック
リンク
QRコード
QR
RSSリンクの表示