「遮断地区」ミネット・ウォルターズ

 ミネット・ウォルターズってイギリスで超有名な作家らしいんですが、初めて読みました。
 本作の物語の舞台が、どうして2001年なんだろう?と思ってたら、邦訳されて日本で刊行されたのが10年以上経った今年だったのですね。
 原題は『Acid Row』。教育程度が低く、ドラッグが蔓延し、争いが日常茶飯事の場所、という意味です。
 アシッドは、LSDのことです、確か。ロンドンは行ったこともないので、治安とかピンと来ません。
 当時のイギリスはどうだっただろう・・・ブラッドフォードやベルファストで暴動起きてましたっけ?
 これ読むと、つくづく日本て人が良いな、と思ってしまいます。
 日本もずっと就職難が続いてたじゃないですか。本作みたいに大量のクスリの入り込む土壌は薄いですが、集まって酒のんで煽られたり煽ったりするうちに暴動が起こって、始めは小さな火が瞬く間に膨れ上がるなんてことが、この国はどうして起こらないんでしょうね?ある意味、歯がゆくもあり、日本人の素晴らしいところでもあると思います。

 物語の舞台は、アシッド・ロウな街、バシンデール団地。
 本作のやや複雑なところは、白人黒人の区別に遠慮があるというところだと思いますが(ジミーは黒人、メラニーは白人)、貧しい白人や黒人の集まっている公営団地が、バシンデール団地です。
 物語の発火点、ルートは二つ。
 ひとつは、この団地に小児性愛の犯罪歴を持つ男が入居したという噂が広まってしまったこと。
 もうひとつは、ここから30キロ離れた場所で10歳の少女エイミー・ビダルフが失踪したこと。
 悪いタイミングで、この二つが重なったのです。
 警察がバシンデール団地の、小児性愛者前科犯の家を尋ねたことが明らかになると、テレビとラジオから流れる少女失踪事件のニュースに煽られて、ただのデモ行進(小児性愛者を排斥せよ)は、たちまちのうちに熱狂へと高まっていったのです。
 ウェズリー・ハーバーみたいな、社会的に傷つけられ、教育程度の低い少年が、瓶にガソリンをいれて振り回し、クルマをひっくり返して団地と外部を封鎖してしまったのです。群衆は方向性を欠き、はじめから多くの派があり、多すぎるリーダーがいました。つまり、統制がとれるような状態ではなく、祭りみたいな感覚でどんどん若者が地区になだれ込んでしまったというわけですね。
 狂気の群衆は、小児性愛者の住むバシンデール団地23番地を目指します。
 ところが、この家には前科犯の元音楽教師の他に、71歳になる彼の父がいました。
 そして、父が具合が悪いということで、医療センターから医師が緊急で派遣されていました。
 医師は女性で、結婚を間近に控えたソフィー・モリスン。小柄ですが、気の強い美人。
 なんと、彼女は父親のほうに襲われそうになり、この家に囚われてしまうのです。
 
 “変態のすみか”である23番地を破壊しようとする、集団。
 当初の平和的デモの発案者メラニーは、これを阻止しようとします。
 そして、刑務所から出所したばかりのメラニーの夫、ジミーの八面六臂の活躍。
 囚われの美人医師ソフィーは助かるのでしょうか。
 そしてその裏で刻々と進行する警察による少女エイミー失踪事件の解明。はたして彼女はどこに・・・

 はっきり言いますと、私的にそれほど面白いとは思えませんでした。
 面白いと思うようにするならば、失踪事件の裏で糸を引いていたのは、実はエイミーだったと思い込むことです
ね。タウンゼントは彼女が操っていたと。
 でもなあ、キムバリーにイジメられるくらいだから・・・無理がありますねえ。
 あと、惨殺された老人の正体がアーサーだったというのはいただけません。どうにか、取り替えてそれをフラネクにするべきでした。兜もつけて顔わからないんだから。
 ま、もっと面白かったら、とっくに邦訳されてますか。


 

 
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