「アクエリアム」森深紅

謎に満ちた物語のGLっぽい雰囲気、そしてペンネームに似合わず、著者略歴や物語の細部からすると森深紅(もりみくれ)という作家はどうやら理系の方のようです。
本作はデビューから3作目の書き下ろしで、ノベルズ300ページ二段組となっています。

初等科1年から中等科3年までの9学年、400人を超す女生徒が寮生活を送っている遠海学園。
ここには週末しか外出が許されない、校外での男性との個人的な接触は許されない、などの細かい生活規則のほかに、“人魚姫の禁忌”という、破れば退学も辞さない厳罰が下る校則が3つある。
1つ目は許可のない外出の禁止、2つ目は制服着用の絶対、3つ目は不純な交遊の禁止。
中等科3年で水泳部に属し、休日はいつもひとりで水族館にいる瞳子(とうこ)にいきなり接触してきたのは、この人魚姫の禁忌を破ったという、同じ中等科3年で陸上部のエースである遊砂(ゆさ)だった。
遊砂は、この学校の秘密を知っているという。
周囲に広がる深い森、学校を囲む高い塀、そして校内には生徒の動きを監視する装置。
すべての生徒の左耳には誕生石のピアスがあり、これは児童局で名前と一緒に付けられる。
留め金の交換以外は常に身につけて学校の保護下にあることを示すきまりだ。
そしてこの出生登録ピアスや制服には、謎の管理番号が記載されており、個人を管理しているのである。
この町の外に出たことがない子供たち。この国で生まれた子供は児童局に勤める大人たちの手で育てられる。
瞳子も遊砂もそう信じてきた。彼女たちには両親の記憶も苗字すらなかった。
海も見たことなければ、汽車も飛行機も乗ったことがなく、インターネットの存在も知らなかった。
ふたりが、運び出された荷物の中に隠れて、この学校の外に脱出するまでは……
瞳子と遊砂は、遠海学園とそっくりな学校の倉庫に運ばれてきた。
ここで出会い、匿ってくれた蓮花と茉莉によれば、この学校は女子ばかり12学年の全寮制湖東音楽学校だった。
驚くべきことに、彼女たちは遠海学園も遠海町も知らなかった。
湖畔に立つ特徴的な建物は外見は同じでも水族館ではなく植物園であるという。
そして、遠海学園にいた生徒とそっくりな外見をもつ生徒がこの学校にいる不思議。
ここはパラレルワールドなのだろうか?
絶望の中で立ち上がった少女たちが、この閉ざされた世界の謎と陰謀に果敢に挑む。

水槽の内と外が逆転する感覚がありましたね。あそこは良かったと思いますが、いかんせんネタが早くにバレすぎでしょう。表紙のそでに、作者の意味深なセリフがありますが、あれもきっちりネタバレです。
100ページもいかずに、たぶんこうなんだろうなと想像していたことの8分目までは当たり、あとの2割は七桁の管理番号の謎を含めよくわからないままに終わってしまいました。ひょっとしたら続編があるのかな?
だったらあんな終わり方の理由もわからないではありませんが……
理系らしい素晴らしいアイディアで不気味な世界を創造しているのですが、何か物足りません。
それにちょっとややこしい。瞳子と蓮花がキャラクター的に似ているの(まあ似てなきゃネタ的に仕方ないんですが)で特に読みづらく思いました。
誕生石のピアスだってじゃあ4月はどうすんだって話にもなり、少しおかしな部分もありましたし。
ストーリーの核はそのままで、もうちょっと工夫すればすげえ面白くなったのになあ。
それでも、この世界にハマる方はハマるのかもしれませんね。




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