「四季 秋」森博嗣

四季シリーズも佳境の三作目ですが、これまでの二作と変わって真賀田四季が滅多に登場してきません。
目に見える形では消えた存在となっています。
その代わり、犀川や萌絵に与えた恐怖や畏敬といった影響、言わば「影」の形で出てくるので、それはそれで四季という孤高の存在感を高めるには効果的となっています。

今回はS&Mから犀川と萌絵、Ⅴから保呂草と各務のラブ?ストーリーが盛りだくさんです。
「愛情なんてどこからだって芽生えます。なにかが擦れたときに発生する摩擦熱みたいなものです」。
瀬在丸紅子も登場し、西之園萌絵と対面するシーンはこれまでのシリーズを読み進めてきたファンにとってはとても感慨深いものになったはずです。イタリアロケもありましたし、風景が変わり懐かしい物語も一風変わった味付けとなっていたように感じました。
「捩れ屋敷の利純」の矛盾も解消してくれました。エンジェル・マヌーヴァ盗難事件ですね。
実は、私はⅤシリーズのイレギュラーとして登場したこの作品の時系列の問題など理解できずにいました。
どうして時代の違う萌絵と保呂草が同じ場所に登場してきたのだろう、と。
実は「捩れ屋敷の利純」は本書と同時期なのです。国枝桃子がN大からC大に転属する話題はどちらにも書かれていました。保呂草が紅子を訪ねたあの本のエピローグも本書の内容と合うのです。
つまり
「Ⅴシリーズ」「四季 春」→「四季 夏」→「S&Mシリーズ」→「捩れ屋敷の利純」「四季 秋」
時系列で見ればこういう順番であり、それぞれ真賀田四季は5~8歳、13歳、27歳、33歳となります。

そうそう、私は文庫本でこの話を読んでいるのですが、ある時、付属らしい「しおり」がページの隙間からヒラヒラと落ちてきたのです。
「もう一度出せる秋」と書かれていました。
気になって「四季 夏」のしおりも見てみると「取り替えられる夏」と書かれていました。
「四季 春」はなくなっており確認できませんでしたが、なんとも意味深なのか全く意味がないのか謎ですね。


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