「ソロモンの偽証 第Ⅰ部 事件」宮部みゆき

12月25日、終業式の朝。
1990年もあと1週間を残すのみとなり、世間は忙しく、大人たちはせわしなく動き回る。
それと引き換えに、学校は静まり返る。生徒たちは冬休みに入り、校舎は空っぽになる。
だが、東京の下町にある城東第三中学校だけは例外だった。
柏木卓也という1人の2年生の死が、この学校の平和な冬ごもりに待ったをかけたのだ。
11月半ば以来不登校状態だった彼は、校舎の通用門の内側の裏庭で雪に埋もれて凍っているのを同じ2年A組のクラスメイトに発見された。
警察の検証では、屋上から飛び降りたのではないかということだった。
また、彼の両親も、健康に不安を抱え学校にうまく適応できず家族に心配をかけてばかりいた卓也が自分に絶望して自殺したのだろうと考えていた。
しかし、これが殺人事件であるということを告発した手紙が現れたことにより、事態は急速に紛糾していく。
告発状に名指しされた札付きの不良グループは、柏木卓也と理科準備室で揉め事を起こし、それが原因で彼が不登校になったのではないかという見方もあった。
だが、学校と警察側は告発状を根拠のない怪文書として扱い、その差出人も特定する。
しかし、収拾するかに見えた事態は思わぬところからほころびを見せる。告発状のあて先の一人であった2年A組の担任であった教師がそれを読みながら破り捨てていたというのだ。
学校教育の問題も扱うテレビのニュース番組は、学校側が事実を隠蔽しているのではないかとこの事件を大きく扱い、対応が後手後手に回ってしまった学校側は混乱してしまう。さらに、告発状に関わったのではないかと噂される女子生徒の謎の死、そして告発状で殺人の実行犯とされた男子生徒の家が放火され……
柏木卓也は、ただ死んだのではない。自分の死があとあとまで生きる方法を選んで死んでいった。
関係者全員、学校全体が、まるごと取り憑かれているかのように。
はたして、藤野涼子をはじめとする2年A組の生徒たちは、事件の真相を究明することができるのか!?
3部作の第1巻にしておよそ原稿用紙1700枚、衝撃的で圧巻な物語のスタート。

いやあ、面白かった。すごい。
こういう面白い本はボリュームがあればあるほどうれしいですね。あと2巻も読むことができます。
たぶん2年A組の卒業制作の文集で、事件の真相を暴いていくという形になるんじゃないでしょうか。どうかな。
まあ、まだ始まったところなのでわかりませんから、とりあえず1巻目で感じた謎と登場人物をメモしておきます。
私の目に付いた謎 
その1 柏木卓也の日記が消えている。遺書もない。
その2 葬式に来ていた男の子の謎(卓也と同じ塾だったという、英明という私立中学の子。たぶん)
その3 森内先生(モリリン)は、24歳で新任だったのに、どうして金回りが良かったのか。
その4 電気店主人、小林修造が見かけたときに卓也はどこに電話していたのか?(死の直前、24日の晩)
その5 大出宅に放火した人間はいったい誰なのか?
などですかね。このへんを注意して2巻目を読んでみたいと思っています。
登場人物メモ
藤野涼子 2年A組学級委員長。剣道部、文武両道の美人。父は警視庁捜査一課刑事である藤野剛。
三宅樹理 「告発状」の差出人。顔の吹き出物のせいで大出らにいじめられていた過去がある。
野田健一 柏木卓也の遺体第一発見者。心身に問題を抱える母など、家庭に問題を抱えていた。
向坂行夫 野田健一の親友であり、藤野涼子の友達である倉田まり子とは幼馴染。
浅井松子 三宅樹里の唯一の友達。告発状の送付に付き合い、後に事故で死亡。
大出俊次 不良グループのリーダー。歩き回る暴力。建築資材会社社長の父、勝も凶暴。
橋田祐太郎 大出の金魚のフンだったが、次第にグループと距離をおいた行動をとるようになる。
井口充  大出の金魚のフン2号。告発状の差出人を橋田と疑い喧嘩、校舎3階から落とされ重傷。
森内恵美子 2年A組担任の24歳美人女性教師。告発状を捨てたと非難され衰弱し休職中。
津崎正男 城東第三中学校長、通称豆ダヌキ。誠実な人柄だが騒動の荒波に飲まれ辞任。
佐々木礼子 城東警察署少年課刑事。30過ぎの正義感の強い警官で、中学校の問題に対処している。
垣内美奈絵 森内のマンションの隣人で夫と別居中。被害妄想。森内宛の郵便物を盗み、騒ぎの発端を作る。
茂木悦男 HBSのニュース番組「ニュースアドベンチャー」記者。強引で豪腕、 燠火を燃え上がらす。
柏木宏之 卓也の4歳上の兄。一身に父母の愛を受けた弟を憎んでいたが、卓也という人間を知り尽くしている。



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