「人類大移動」印東道子編

人類がアフリカで誕生してから700万年になるらしいです。
その間、猿人、原人、旧人などが現れては消えていき、やはりアフリカで20万年前に誕生した新人(ホモ・サピエンス)が、現在地球上に暮らす人類すべての祖先となりました。
では、どうやって新人はアフリカから地球のすみずみにまで広がることができたのでしょうか。
むちゃくちゃ遠いでしょ。山だって海だってあるし、雪だって積もる。
それでもオーストラリアへは4万5千年前に、アメリカへさえ1万1千5百年前には進出していた証拠があります。
本書は、先史人類の移動の歴史を描き出し、その移動を可能にした能力を考え、他の人類集団と遭遇した場合の交流、そして類人猿との比較から人間の移動を可能にした背景を分析しています。
執筆は国立民俗学博物館の「人類の移動誌」共同研究メンバーを中心に、世界各地の最前線で活躍している研究者の手により、編集を国立民俗学博物館民俗社会研究部・印東道子教授が担当されています。

では各章ごとの概略を。
①新人はそれ以前の人類と何が違っていたのか、絶滅しなかったのはなぜか。「森から草原への移動」(700万年前~200万年前・猿人・地球上の陸地3%)→「アウト・オブ・アフリカ」(180万年前・原人・旧人・46%)→「新人によるアウト・オブ・アフリカ」(20万年前~現在・新人・95%)。旧石器革命が多大な影響を及ぼした。
②アフリカを出た新人はユーラシア大陸を西と東に向った二つの集団に分かれた。東に向った集団はどんなルートを使っていつごろアジア大陸を横断したのか。→ヒマラヤの南ルートを使ったらしい。東アジア最古の新人の化石は北京近郊で発掘された4万年前のもの。
③アジア大陸を北へと向った新人はシベリアを通り抜け、アメリカ大陸へと移動した。氷期による海面低下で、ベーリンシア陸橋が出現していた。2万7千年前から1万1千年前のこと。
④人類はかなり早い段階で海を渡っていた?→4万5千年前にオーストラリアへ。2万年前以降は海上移動の技術や知識が発達。6千年前からは台湾を経由したアジア人が南下し、その先はマダカスカルやイースター島へ。
⑤日本人のDNAは中国の内陸部より海岸部に住んでいた集団と遺伝的に近い。日本人は2種の祖先の混合体。2010年、ネアンデルタール人のゲノムの半分が解読され、その結果は私たち東ユーラシアに住む現代人に彼らのゲノムが1~4%伝わっているという驚くべきもの。わしら、旧人の血を引いているのかよ(笑)
⑥人類が広い範囲に移動し、しかも異なる環境の中にも移動できた謎を解き明かす。→現代的行動(抽象的概念の理解、深い計画性、創造性、象徴能力)
⑦クロマニョンとネアンデルタールの出会い、縄文人と弥生人の出会い、狩猟採集民と農耕民の出会い。クロマニョンとネアンデルタールの間には子供が生まれていた。縄文人と渡来の弥生人の間に抗争のあとはない。狩猟民は海を渡ってきた農耕民の技術を積極的に取り入れたらしい。
⑧人類はなぜアフリカを出たのか。サルと類人猿、類人猿とヒトの違いを解説。長い腸より大きい脳をとった人間。消化のよい食物を食べ、授乳期間を短縮して多産し、地球を征服するに至る。

私たちは人間なんですが、あんがい人間というものが生物学的にわかっていないんですよね。
私たちのルーツを探るうえで格好の一冊だと思って読んでみたのですが、確かに面白い事実を知れる一方、あまりにもいまだわかってない事実が多すぎるのです。クロマニョンに駆逐されたネアンデルタールはどうして絶滅したのだろうか、とかね。当時は氷期だったので、海岸沿いに生活していた場合、その遺跡情報は現在海の底です。永久にわかることはないでしょう。魚や貝が採取できる以上、海の近辺で人類は生活していた場合が多いんじゃないでしょうか。
その一方、DNAに関する分子生物学の進展はすさまじいので、人類の変遷はこれからどんどん明らかになっていくでしょう。でもなんか、ロマンがないんですよね。やっぱ、遺跡が見つからないとね。学者は体力ですよ。
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