「これならわかる日本の領土紛争」松竹伸幸

本当にタイトル通りの本なら良かったんですが。
日本と国境を接している国々との領土問題は色々とありますが、それを客観的に知ろう、と思えばこの本を読めば余計なものがついてきます。つまり著者の“思想”です。
冒頭で著者は、本書のコンセプトは「領土紛争がなぜ解決しないのか、関係国で意見が食い違うのはなぜか、その難しさがわかること」と云っており、確かにページ半分までは、その通りかなと思っていたのですが、それを過ぎるころになると俄然怪しくなってくるのです。

知らずに読んだのですが、読んでるうちにあらと思い、著者の略歴みて、ネットで調べるとやはり「超左翼のおじさん」を名乗ってブログをしていたことが判明しました(笑)
\(^o^)/
これでは真面目に読めなくなってきます。私は、領土問題の話になると頭にくる人がたくさんいますが、実情や歴史をどれだけわかっている人がいるのか、まず歴史を知り、客観的に知識を蓄えなければならないと思ってこの手の本を読んでみることにしたのです。これでは、都合のいいことばかり垂れ流すメディアと変わらないどころか、プロパガンダではないだろうかと思ったのです。そこから、そういった思想を自ら標榜している人が書いた領土問題の本である、という観点から本書を読みました。
といっても「おかしいな」と思ったところもあれば「なるほど」と思ったところも多いです。
「超左翼」とは、「極左」ではなく「左翼」を超えた、という意味なのかもしれません。ある意味、ひょっとしたら著者のいうことはもっともであって私の感じるところのほうがおかしいのかもしれませんが。
本書では、①竹島、②東シナ海ガス田、③尖閣諸島、④北方領土の順に語られています。
もちろん、歴史的な事柄をふまえつつ、国際法にてらして、そして現実政治(リアル・ポリティクス)の観点からこれらの領土の諸問題を述べられているわけで、そのことについて不満はありません。
ただ、その解決法というのを著者が云ってるところで少し気に食わないところがあります。
たとえば、尖閣諸島問題。著者は尖閣諸島はまぎれもなく日本の領土であると主張します。ならなぜ、解決するために尖閣で日中で合同で資源開発すればいいみたいなことが書けるのでしょうか?
東シナ海ガス田共同開発の合意は、日中中間点の海の底ですよ?尖閣は日本の土地ですよ、シナ海の底とは次元が違うでしょう?もしもあとになって中国が日本の国内法を守らずに横暴してきたらどうするんですか。
著者は、日米の合同軍事演習などが中国を刺激して軍備増強の負の連鎖を招いているなんて書いていますが、じゃあ著者の云う通り尖閣で共同開発してそのまま中国に居座られたらどうするんです?
竹島や北方領土における韓国、ロシアみたいに実効支配されたら手も足も出なくなるんですよ。
左翼を名乗る人間が格好つけて実利ぶるからこういうことを云う。むしろ「尖閣を中国の莫大な予算で買い取ってもらえ。その金で社会保障費を補おう」と云うほうが話はわかる気がします。
1970年代初頭までは、中国は尖閣諸島なんて見向きもしなかったのですから。眠る資源が発見されるまではね。
あと北方領土の項で、特定の政党の外交上の成功を何度も何度も繰り返して書いていたのは、鼻につきました。

間寛平が吉本新喜劇で、「なぜじゃ」「どうしてじゃ」「だれがじゃ」とか難しい爺の役をしていますが、領土問題なんてあのジジイみたいなもんだと思います。話をかみ合わせないようにしているのですから。
ただ、実は解決できるチャンスは何度もありました。それを日本が逃してきただけです。
イデオロギー関係なく、著者みたいに解決策を考えるのもいいでしょう。
この問題については為政者がコロコロ変わる日本は不利だし、なにより第二次世界大戦の敗戦という事実があります。
著者のいうように、本音の外交、つまり武士は食わねど高楊枝ではなく、お腹がほっくり満たされるような実益のある外交はこれからの日本にとっては必須なのですがね。

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