「百年文庫 星」アンデルセン/ビョルンソン/ラーゲルレーヴ

 ようやく折り返しです。
 ナンバー51のテーマは「星」。象徴的な意味合いの星。涙、福音、ともしび。
 できればひとつでも、ティンクルスターのほうも入れてほしかったですけども。
 そして、おそらくわざとでしょうが、3篇の物語の作者はいずれも北欧人。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン。
 なんで「星」と北欧が関係あるのかはわかりません。
 なんでだろうね。
 こういう意味のないことしてるから、売れなかったんだろうね、この企画。
 まあ、いい。
 それぞれに読みやすい、寓話的なお話ですが、私のイチオシは2作目の「父親」。
 短い作品ですが、えも言われぬ味わいがありました。
 
「ひとり者のナイトキャップ」アンデルセン(1805~1875)
 童話で有名なアンデルセンの作品です。
 知らなかったのですが、アンデルセンて、失恋を繰り返してずっと独り身だったそうです。
 旅が好きでね。まるで寅さんのよう。
 このお話なんて、ほぼ実体験というか、実は彼の身の上そのものだったかもしれません。
 ドイツ商人の部下で、コペンハーゲンで番頭をしているアントンさんが主人公。
 寒くて寂しい夜、毛糸のナイトキャップを目深にかぶって寝間に入った彼は、幼馴染で初恋の相手だったモリーとのことを思い出し、その恋がよくある悲恋に終わった後、実家の商売が傾いて苦しかった身の上などが走馬灯のように脳裏をかけめぐり、寝苦しい夜を過ごすのですが・・・
 失恋を繰り返す人というのは、惚れっぽいのですね、つまり基本的に人がいいのだと思います。
 それはそれでいいのではないですかね。失恋をするということは、するたびに優しくなっていくということです。
 振られるたびに性格が曲がっていくのならば、それは本当の恋ではありませんねえ。

「父親」ビョルンソン(1832~1910)
 教区で一番の地主で有力者である男に息子ができた。彼は洗礼、堅信礼、そして婚約と、そのたびに教会を訪れて少なからぬ寄進をした。一人息子のためである。そして結婚を目前にして、ふたりでボートに乗っているとき、息子は海に落ちたまま死んでしまった。その日から一年、男は教会を訪れた。屋敷を売った金で、貧乏な人のためになる基金を、死んだ息子の名前を冠して作りたいというのである。牧師は言った。「お前の息子は、おまえの祝福になったのだな」、と。
 なんとも味わいのある話でね。想像を絶する悲劇でも、いつしか福音に生まれ変わる可能性があるんですね。
 この1年の父親の心の動きように思いを馳せてみることです。きっといい息子さんだったのでしょう。
 悲しみは悲しみのままにしていてはいけないのです。昇華しなくては。

「ともしび」ラーゲルレーヴ(1858~1940)
 女性初のノーベル文学賞受賞者の作品。
 昔のフィレンツェを舞台にした話で、なかなか読みでがある物語です。
 主人公はラニエロ。この男、三国志の張飛みたいな奴で、ひとかどの剛の者なのですが、いかんせん脳が足りない。
 せっかく愛してくれた妻のフランチェスカを幾度も傷つけ、彼女は実家に帰ってしまいます。
 ラニエロ、どうしていいかわからない。とりあえず、彼はフィレンツェを出、傭兵になってたくさんの武功を挙げました。
 それによってフランチェスカが戻ってきてくれないか、と思っていたのです。
 彼はフィレンツェの聖堂に、戦いのたびに戦利品を献上していました。
 しかし、それでもフランチェスカからは、音沙汰がありません。
 ついに皇帝の騎士にまで登りつめた彼は、エルサレムへの十字軍遠征でまたしても抜群の功績を挙げました。
 そのために、聖墳墓教会のキリストの聖火を一番にあずかるという栄誉を受けました。
 ことの成り行きから、彼はこの聖火を灯したまま、フィレンツェに直接届けるという無理難題を背負ってしまいます。
 盗賊の襲撃をかわし、ロウソクを何本も継ぎ足し、幾度も火が消えてしまう危難から脱し、彼はなんとかフィレンツェの聖堂にたどり着くのですが、そこで待っていたものとは・・・


 
 
 
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