「よく晴れた日にイランへ」蔵前仁一

 ガイドブック「旅行人」で、知る人ぞ知る著名バックパッカーの蔵前仁一によるイラン紀行。
 蔵前仁一の本読むなんて何年ぶりだろ。
 もう70歳くらいになってるんじゃないかと思ったら、まだ60歳手前だったんですね。意外。
 昔、旅行人から出てたバングラデシュを貪るように読みました。
 当時は、バングラデシュのガイドブックなんて皆無でしたからね。
 成田からビーマンバングラデシュ航空という、貧乏旅行者御用達のエアラインが飛んでました。
 あれ、もうないんでしょうね。
 確かバンコク、チッタゴン、もうひとつどっかストップオーバーしてたような気がするなあ。
 今のバックパッカーはどんな手段で旅行してるんでしょうね。
 本書を読んで、イランに中国人の若いパッカーがたくさん来ているというのを読んで、本当に驚愕しました。
 確かに私が旅をしていた終盤のころは、地球の歩き方にそっくりなガイドブックを持った韓国人はチラホラ見かけましたが、中国人の個人旅行者に中国以外で会ったことはありませんでしたからね。
 時代はすごい勢いで変わっているのですねえ。
 同じ屋根の下に日本人と韓国人と中国人が泊まったら揉めるような気がするなあ(笑)
 まあ私の場合は、同じ日本人とも揉めてましたけど。

 さて、イラン。
 蔵前氏、24年ぶりのイラン旅行。イランを旅するに最高の季節は、天気がよく航空券も安い9月がベストだそうです。
 前回の旅の模様は「旅で眠りたい」という本に書かれています。私も読みました。
 ずいぶんと、イランも変わっているようです。
 カタール航空でドーハからテヘランに入った、蔵前さん夫妻。
 まず首都テヘラン、そしてタブリーズ、クルド人の街サナンタジ、絨毯のハマダーン、街そのものが遺跡であるカーシャーン、附近に奇妙な村があるエスファハーン、遊牧民カシュガイのいるシーラーズ、ゾロアスター教の聖地ヤズド、そしてシーア派最大の聖地であるマシュハド。
 ぐるっとイランを一周するような感じの旅行です。
 昔の蔵前さんの本では考えられないくらい写真がたくさん付いてまして、本当に綺麗。
 幻想的な砂漠の風景から、下の家の屋根が上の家の庭になっているような、アリの巣みたいな村の写真、そしてイランの美女まで、盛りだくさん。少なくとも、貧乏旅行用のガイドブックではありません。れっきとした紀行本です。
 小汚い安宿にも泊まっていません。というかゲストハウスみたいなのはないようですね。
 イランの美女で思い出しましたが、イランて女の人が真っ黒なヘジャブ(ずきんのような)やチャドル(全身を覆う)を着用しているイメージが強いですよね。そのせいで、すごく窮屈というか閉鎖的なものを感じます。
 実際には、まあ、日本のような世俗国家ではなくて宗教が人間の作る法律より上回る国家ですので、ちょっと変わった感じはありますけども、旅行するぶんにはまったく問題のない、楽しい国のようです。人も親切。治安も悪くない。
 タクシー以外の交通費がむちゃくちゃ安いそう。
 でも、巻末に物価とか載っていますが、東南アジアの国とかと比べると、やはり何もかも高いですね。
 西洋とアジアの中間くらいの予算でしょうかね。
 この本が出たのは去年なのでイランの経済制裁解除には間に合っていませんが、テヘランには経済制裁下でもソニーもアップルもサムソンも溢れていたようですから、これからさらにイランの経済というか国民の暮らしぶりは上向くはずです。
 おそらく、さらに物価は上がるでしょう。
 イランに行きたいと思っている方は、今が最後の行きどきかもしれませんよ・・・

 いま、ふと思い出したんですが、沢木耕太郎の「深夜特急」でもイランを通過していましたね。
 なんだかんだで、旅が出来る程度には常に安定している国なのではないでしょうか。戦争の時はあれだけどね。
 お隣のアフガニスタンやイラクはそれどころじゃなくなっちゃいましたから、イランの独自の存在感を感じますなあ。
 これも、体制的とはいえ宗教的な政治権力が強固なおかげでしょうか。
 反面、国民は多少窮屈なようで、この本でも出会うイラン人の「日本は自由でいいなあ」という声がたくさん載せられています。
 男性は、2年の兵役を終えなければ、パスポートももらえないし、結婚もできないし、家も買えないそうです。
 まあ、経済制裁が解かれたこれから、世界とどう向き合っていくかによって、また変わってくるかもしれませんね。
 意外ですが、イランは石油を輸入しているんですよ。
 国内ガソリン需要の40%は輸入です。イラン産の石油はガソリンには向かないものなんだそうです。
 精製能力も低いんだとか。
 日本はイランと独自の外交ルートを暖めていた国ですから、中国に何もかもかっさらわれないうちに、こそっとなんとかしなけりゃね・・・


 
 
 
 
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