第二級活字中毒者の遊読記

酒の肴は一冊の本。旅の友も一冊の本。活字中毒者の書評と読書感想文。

Archive: 2014年04月  2/4

「殺人犯はそこにいる」清水潔

 本書の内容が事実ならば、17年の間に5人の幼女が姿を消したというのに、この国の司法は無実の男性を17年半も獄中に投じ、真犯人を野放しにしたあげく、己等の組織を守るために真実にフタをしているということになります。 殺人犯はそこにいる。罪を問われず、贖うでもなく、平然と、平和に暮らしている。 あなたもこの魔物と、過去のどこかですれ違い、いつかの未来に出会うかもしれません。 まず、著者が名付けるところ...

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「ポトスライムの舟」津村記久子

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 第140回(2008年度下半期)芥川賞受賞作でして、久しぶりの再読です。 なぜまた読んだかというと、続編が出たのですね、「ポースケ」ってタイトルだったかな。 近々、読んでみようと思っています。 しかし、悲しいかな、間隔が5年も空いてしまうと、ろくに前作の内容を覚えておりません。 私がうっすらと覚えているのは、舞台が奈良だったことと、ユニクロの正露丸のTシャツを着ている女性がキャラクターにいたこと...

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「最後の戦闘機 紫電改」碇義朗

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 太平洋戦争末期、わずか約420機の生産ながら、日本海軍戦闘機隊の終焉に強烈なインパクトを残した世界最強の重戦闘機であり、連合軍パイロットからは“ジョージ”と呼ばれ怖れられた、川西航空機の最高傑作『紫電改』(N1K2-J)の誕生から最期までの物語。あくまでも主人公は、“紫電改”自身です。 読みやすいですね。碇義朗は、他にも紫電改モノを書いており、第一人者と云えるでしょうが、本作は紫電改のパイロットや航空隊...

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「暗礁」黒川博行

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 すべての発端は、奈良県警の交通企画部長を接待したイカサマ麻雀だった。 レートは千点1万円。5時間の勝負で、二宮は37歳の生涯で初めてバクチで大勝ちした。 しかし、たった60万と9千円の稼ぎのために、どれだけひどいめにあったことか。 60万はとっくになくなって銀行の預金残高もゼロになり、おふくろに金を振り込んでくれと頼む体たらくだ。 オレオレ詐欺も真っ青の正真正銘の「オレオレ」である。 おまけにヤ...

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「百年文庫 湖」フィッツジェラルド・木々高太郎・小沼丹

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 百年文庫29作目のテーマは『湖』ときた(・∀・) 海でも川でもない、もちろん沼でもありません、湖が作品の背景にどう影響しますかね。 なんとなく箱庭的である、というのは多くの方が感じるところでしょう。 憧憬的でもありますね。ロマンティックな雰囲気。池や沼とは格が違う。 有名な湖は観光地でもあります。すなわち、土地のシンボルで風光明媚な景勝地ということも云えます。 また湖には海でも川でもない、独特の魚が...

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