第二級活字中毒者の遊読記

酒の肴は一冊の本。旅の友も一冊の本。活字中毒者の書評と読書感想文。

Category: 歴史・伝記小説  1/5

「島抜け」吉村昭

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 日本での特志解剖第一号となった遊女みきを題材に近代日本医学の解剖史を紐解いた「梅の刺青」、江戸時代末期に実際にあった“島抜け”(遠島刑の囚人が流刑地から逃げ出すこと)を作者自身が実地に赴いて調査し書き起こした表題作「島抜け」、創作ながら江戸時代の飢饉に苦しむ百姓を描き、放浪者に食を施す寺社の横暴を現代に知らしめた「欠けた茶碗」の3篇。 吉村昭ならではの鋭角的な視点で歴史の闇を突いた、いずれもレベル...

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「会津執権の栄誉」佐藤巖太郎

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 今年第157回直木賞の候補にもなった新感覚の歴史小説です。 舞台を同じくした6篇の連作で構成されているのですが、それぞれの短編の発表時期はおよそ1年に1回ほど。 冒頭の話が2013年、最後の書き下ろしは2017年ですから、なんと足掛け5年ですわ。 珍しいですよねえ。 歴史小説としての題材も珍しいというか、変わっているというか、会津の戦国武将・芦名氏に脚光を当てています。 マイナーですわな。渋すぎ...

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「虎の夢見し」津本陽

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 肥後54万石を領した豊臣秀吉麾下の豪傑・加藤虎之助清正の伝記小説。 後半からエピソードが増えて面白くなりましたが、最初のほうは歴史の教科書を読んでいるみたいに退屈でした。 逆にマイナーな播磨の三木城攻めや鳥取城攻めが、これでもかと詳しく書かれていたのは戦国好きにとってはかゆいところに手が届いたかもしれないですなあ。細川藤孝の水軍なんて知らなかったし。私はちょっと眠たかったけども。 まあ、こういう...

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「比ぶ者なき」馳星周

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 なんだこれ、つまらん。 上古時代、藤原氏繁栄の基礎をつくった藤原不比等を主人公にした馳星周の歴史小説なんですが・・・ なんの盛り上がりもないままに終わるんですよ、ボリュームが500ページ近くあるのに。 まるで、日本史の教科書を読んだ気分。小説じゃないわ、これは。 つまんねえ。バカじゃねえの。 もう馳星周はノアールしかできないんだからさ、「はんかくせえ」って鉄砲撃ってやりゃいいんだよ田舎ヤクザが。...

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「狗賓童子の島」飯嶋和一

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 第19回(2015年度)司馬遼太郎賞受賞作です。 飯星和一は、作品数こそ少ないですが、「出せば傑作」という、知る人ぞ知る有名作家。 私は恥ずかしながら、知りませんでした。本作が初めてです。 普段は気にしないamazonのレビューが異様に高く、逆に心配になりましたが、読んでみれば納得。 ハードカバー550ページに文字がみっちり。大河小説とでもいうべき、濃密な物語でしたね。 読み終えて、充実感がハンパない...

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