「SMAPはなぜ解散したのか」松谷創一郎

 アイドル歌手であり、トップ俳優であり、コメディアンであり、司会者であるという前例のない全方位型のスターユニットであったSMAPが、すったもんだ、紆余曲折の末に、2016年いっぱいで解散してしまいました。
 彼らはなぜ解散しなければならなかったのか?
 SMAP問題を通して、芸能界やマスメディアのみならず、現代日本社会の問題点を浮き彫りにするルポルタージュ。

 この本を読んで気付かされたこと、それが「SMAP解散? どうでもいいよ」と思うのは浅はかだということ。
 新聞にちゃんと載らないような芸能ネタはレベルが低いなんて決めつけてはいけません。
 なぜなら、芸能は立派な日本の輸出商品になり得るからです。
 KPOPや韓流ドラマに代表される韓国は、芸能の輸出だけで4千億円強も稼いでいるのですよ。
 日本なんて韓国に比べれば微々たるものですが、将来的に伸ばしていかなくてはいけない分野なのです。
 家電もこのザマですからね。儲けれるところは、儲けていかないと日本はこの先ジリ貧ですよ。
 ですから、「芸能? 興味ないね」ではいけません。
 貿易不均衡やエネルギー問題と同等に社会人ならば考えていかなくてはいけない事柄です。
 そして日本の現状の芸能界を理解するうえで、このSMAP解散事件は避けては通れない問題だったのです。
 はからずも、前時代的かつ硬直化している芸能事務所とテレビ業界などの関係や放送法の不備などが浮き彫りになったからです。

 SMAP騒動の要点は、報道でずっと「女性マネージャー」と書かれていたSMAP育ての親たる飯島三智さんのジャニーズ事務所退社に、木村拓哉を除く4人のメンバーが同調しようとしたことです。
 飯島マネージャーは、ジャニーズの落ちこぼれと言われて鳴かず飛ばずだったSMAPにずっと寄り添い、これほどまでのスターユニットに育て上げた生みの親です。中居正広と香取慎吾、草彅剛による1994年から20年間にわたる笑っていいともへの出演、木村拓哉による月9のブレイクを経て、96年からフジテレビで冠番組となった「SMAP✕SMAP」がスタートしたことで、彼らの立場は確固たるものになりましたが、一方では事務員という立場でジャニーズ事務所に就職した飯島の成功によって、事務所内にはメリー喜多川副社長の娘で次期社長である藤島ジュリー景子さんとの間に派閥問題が生まれました。
 ジュリー派の嵐はSMAPと絶対に共演しないとか、KinKi Kidsは中立であるとか、公然の秘密として派閥に端を発する確執が存在していました。このことは2015年1月の週刊文春によるメリー喜多川副社長へのインタビューによって否定すればするほど明るみに出てしまい、このときメリーさんが飯島を呼びつけて恫喝したことによって、彼女は退社を決意したそうです。
 結局、このクーデターは失敗に終わりました。
 2016年1月18日、不自然な謝罪会見がスマスマで生中継されましたが、一度くすぶった火の粉は消せず、2016年8月13日オリンピックの最中に2016年いっぱいでのSMAP解散を正式発表することになったのです。
 メンバー全員はジャニーズ事務所に籍を置いたまま解散しました。
 契約更新のタイミングは2017年9月。さてどうなるのか・・・
 
 これら一連のSMAP解散にまつわる報道によって、芸能界は公正な競争、取引において他の業界では考えられないことがまかりとおることが明らかになりました。タレントが自由に所属事務所を移籍できない、芸能事務所とテレビ業界との閉鎖的な関係性などです。たとえばNHKの紅白歌合戦の司会をSMAPに任せようとすると、ジャニーズ事務所に所属するSMAP以外の全タレントをNHKから引き上げさせるとジャニーズ事務所が言えばどうなるかという問題で、NHKは否定していますが実際には似たようなことを言われたのではないかとも噂されています。他のテレビしかりで、タレントを供給されていることもあってSMAP解散問題でテレビ局は突っ込んだ報道をすることができませんでした。
 タレントは事務所の奴隷ではありません。
 SMAPに限らず、タレントと所属事務所の問題がこれほど多いのはその構造に欠陥があるからです。
 韓国は芸能人の権利を護るために法律を改正しました。
 韓国の真似をせよとはいいませんが、、日本の政治家もSMAP問題についてニヤニヤしながらさも閑話休題のように答弁するのではなく、将来的な国家の経済戦略として取り組む姿勢を見せないと、妖怪のような芸能事務所の幹部たちの好きにさせてるようじゃあ、とても韓流は抜けませんよ。


 
 
 
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