「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香

 これは・・・すごかったです。
 「コンビニ人間」読む前に挟もうと思って読んだんですが、とてもローテーションの谷間ではありません。
 主戦格ですね、エースですよ。
 こんなすごい小説書ける人が36歳までコンビニでアルバイトしてるとは、世の中はほんと奥が深くて面白い。
 これこそ芥川賞じゃないの、コンビニ人間はこれより凄いのでしょうか。
 背筋が震えるくらいレベルの高い青春文学の傑作でした。

 あらすじ。
 主人公は谷沢結佳。彼女の小学校4年生から中学校2年生までの物語。
 舞台は、光ヶ原ニュータウン。結佳が小学生のときは、どんどん家が建って街が勢い良く広がっていたのですが、彼女が中学生になると日本の景気が悪くなって、一転街の成長は止まり、工事途中のまま残された部分が目につくようになります。
 それを「しろいろの街」と骨にたとえています。
 そして骨とは、子供から大人へ成長している途中にある結佳のことでもあり、その周辺のキャラクターのことでもあります。
 年代設定は、携帯が出てこないということは、バブルを挟んでいるということなんでしょうね。
 つまり、作者の実年齢(1979生まれ)に重なっているということで、これだけ生々しい雰囲気なのかな。
 結佳の周辺の人物では、小学校では仲が良かったのですが中学校では疎遠になってしまう信子と若葉。
 そして同じ習字教室に通っていて、結佳が危険な想いを寄せるようになる伊吹陽太。
 この3人が、あまりにも自意識が肥大して息苦しい結佳の青春を醸し出す存在としてくっきりと描かれています。
 中学校の2年E組では、女子の間に5グループの階層があって、若葉の属する見目麗しい上流階級、その下2つに元気で明るい女の子たちのグループ、そしてその下に結佳の属する地味で大人しい子のグループ、最底辺に信子の属するキモいと相手にされないグループが存在します。小学校ではつるんでいた結佳と若葉、信子がいかにして分かれていったか、彼女らはどうやってクラス内で処世をしていくか、そしてみんなから好かれてクラスの女王様からあからさまに思いを寄せられている伊吹陽太とE組の空気でしかない結佳の禁断の関係の行方はどうなるのか・・・ここらへんが最大の読みどころではないかと思います。

 いやあ、息苦しかった。
 女子は大変だねえ。めんどくさいですねえ。
 これほどまでじゃなくても、似たようなことはあるのでしょうねえ。
 私は貧乏で昼ごはんが食えなかったので、昼休みは体育館の横の水飲み場っていうの、あそこにずっといました。
 いじめられることはなかったですが、性格が難しくできているのであまり友達はいませんでしたねえ。
 夏祭りとか、私服がジャージしかなかったので、浴衣や甚平を着ているみんなから誘われることはありませんでした。
 それでも好きな子はできるようで、次から次にフラレていきました\(^o^)/
 今から思えば、楽しかったです。生きてさえいればどうにかなるのでね、金も。
 ですから、結佳が最後にカーストの外に出たときの解放された感がわかるなあ、少しは。
 クラス全体の価値観に縛られているうちは、自由になんかなれっこないですよ。
 底抜けの貧乏かバカ、あるいは陽太のように天然素材(実はラストで正体が知れる)でなければ、クラスの権力者に歯向かわない限りクラスという檻から逃げ出すことはできません。
 もちろん、すべてわかったうえで立ち回れる子もいるのですが、まあ、大体は大人になってみなければわからないことだらけですね。彼らにとっては、その街のその学校の中が世界のすべてなのですから。陽太が結佳に街の外を見せようとした意味、そこにありますね。
 いい小説でした。


 
 
 

 
 
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