「レッドゾーン」真山仁

 バブル崩壊後の後遺症に喘ぐ1996年の日本に、アメリカ最強の投資ファンドの日本法人トップとして還って来た鷲津政彦。危機が叫ばれていた大手金融機関が次々と倒れ、従来は政府や業界が行ってきた支援に代わり、外資系金融機関が暗躍した時代です。
 その頃からマスコミは「日本の資産を食い荒らすハゲタカ外資」と、声高に叫び始めていました。
 鷲津政彦の仕事はハゲタカでしょうか。経営難に陥った企業を買収し、3年から5年かけて再生させて大きな利益を手にするビジネスは、ハゲタカと蔑まれるべきものなのでしょうか。
 時に破滅に追い込まれる経営者もいれば、首切りに遭う従業員もいたのは事実ですが、戦後調子に乗りすぎていた日本経済にとって、それは苦すぎる薬だったでしょうが、言い訳のできない完全な敗退でした。
 外資がなければ助からない命のほうが多かったでしょうからね。
 本作は、それから10年少し経った世界が舞台です。
 さて、どうなっているのでしょう?

 スタートは2007年、マカオ。
 前作、アメリカの巨大軍需ファンドとの曙電機を巡る鬼気迫る攻防から1年。
 鷲津の右腕だったアラン・ウォードの謎の死から3年。
 バイアウト・ファンド、サムライ・キャピタル社長であり、自他ともに認める日本最強、いや世界屈指の買収者(オリジネーター)である鷲津政彦も45歳になりました。
 元CIAのサム・キャンベルは部下となり、リン・ハットフォードとの仲も復活しています。
 そして彼の元を訪れるのは、いかにも怪しげな中国人、王烈。
 彼は、中国国家資産による巨大ファンド、CICの莫大な運用資産を鷲津に任せたいと言うのです。
 SWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)という先進国以外の国の余剰資産の運用が世界の潮流でした。
 なかでも中国は、日本を抜いて世界一の外貨準備高を誇り、しかも外貨準備高がこれ以上増えれば人民元切り上げの圧力が高まるため、有り余るドルを利益が出ないように無駄遣いするという、夢のような話です。どうせ無駄遣いするなら有効に使え(相手国に恩を着せる、中国に必要な技術を持つ企業を買収する)、というのがCICのミッションでした。
 一方、この時代の背景として、アメリカに端を発したサブプライムローン問題の嵐は、いまだに実態すら掴めず、世界の金融界を大きく揺るがし、アメリカのGC含む金融界を瀕死に追いやっていました。
 一気に、世界経済に“赤いハゲタカ”こと中国の旋風が巻き起ころうとしていたのです。
 その洗礼は、アメリカのみならず日本をも襲いました。
 標的となったのは、山口県の世界的な自動車メーカーであるアカマ自動車。
 時価総額20兆円、グループ全体で34万人の従業員を誇る日本を代表する巨大企業に喧嘩を売ってきたのは、中国版ホリエモンと呼ばれる、世界中で会社を買い漁っている上海の若手実業家、賀一華。
 象がノミに噛まれたレベルかと思いきや、会社のスキャンダルや無能の創業者社長を焚きつけるなど、敵対買収策に対して万全と見えたアカマ自動車の内部に綻びが見えるようになります。
 アカマ首脳部は、マスコミや政財界を通じ、日本の宝というべき自動車産業を中国に売り渡すな、というキャンペーンを打ちますが・・・賀一華はただのCICの捨て駒で、アカマが仕込んでいる防衛策の仕掛けをさらけ出させるためだけの存在だったとしたら!?
 不気味に動き出す中国の巨大国家資本。喉から手が出るほど日本の先端技術が欲しいのです。
 そして、アカマを中国から守るためにホワイト・ナイトとして満を持して乗り込む鷲津政彦。
 しかし、恐るべき強敵が実は背後から迫っていたのです・・・
 前門の龍、後門の獅子。世界中の政財界が注視する金融ハルマゲドンが勃発! 危うし、鷲津政彦。

 次作どうするんだろう、というくらい大物が登場しましたね。
 いまこのハゲタカ・シリーズは第4作の『グリード』が発売されたところですが、ひょっとしたら第3作の本作『レッドゾーン』で終わる節もあったのかもしれません。アランの死の謎も表向き解かれましたしね。
 あれはちょっと突飛だったように思うけどなあ。
 『レッドゾーン』というタイトルは、中国の赤とアカマ自動車、それにエンジンの回転数をかけたものだと思いますが、不気味極まりない中国国務院の経済幹部とも会ったことだし、もはや日本の首相などちっぽけに見えるほど鷲津は大きくなりましたなあ。まじで、次作どうなるんだろ。敵がいなくなっちゃうよね。
 アカマ防衛にあたって25兆円動かせるとかも言ってましたし。25兆円て(笑)
 でもどんどん面白くなっていっているんですよね。筆力も初期のハゲタカの頃とは全然違います。
 リンやキャンベルなどいつものメンバーのキャラも活き活きしてますし、孫建剛という元新華社記者の頼りになりそうな奴も仲間になって、さらに鷲津が解任されたあとホライズン・キャピタルの後釜に納まったナオミ・トミナガという日系2世はハゲタカ2世とも言われているようですし、いい意味で進化というか、展開していってますよね。
 芝野さんは相変わらずだし(笑) 今度は東大阪の町工場のターンアラウンドです。
 いい意味で、中国という巨大な昇竜と、日本の小さな町工場という対比が非常に生きていたとも思います。
 1作目、2作目と比べても、ダントツに面白かったと思います。


 
 
 
 
 
 
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「家族喰い 尼崎連続変死事件の真相」小野一光

 尼崎連続変死事件とは、兵庫県尼崎市を中心に、複数の家族が長期間虐待、監禁され、殺害された連続殺人事件のことです。
 そう、角田美代子(すみだみよこ)の。
 2011年11月に、尼崎市内の貸倉庫から、ドラム缶にコンクリート詰めにされた遺体が発見されました。
 この報道が一連の事件の表向きの幕開けとなりましたが、この一報だけはなぜか、私、よく覚えているんです。
 その後がどうもいけなくて、興味を失い、というのは角田美代子が捕まってどうたらこうたらしてるのは知ってたんですが、なんか人間関係が複雑だったでしょう、次に目にしたときには、どっかの留置所か拘置所の中でおばはん自殺していました。
 だから、本書で初めて事件の概要を知ることができたのです。
 ちなみに、ドラム缶の遺体が発見されたときには、角田美代子はもう逮捕されていました。
 その月の頭に、監禁して虐待していた女性が、逃走したのです。
 尼崎で美代子の元を逃走した女性は、それまで「民事不介入」を建前に助けてもらえなかった兵庫県警には駆け込まず、隣の大阪府警の交番に逃げ込むことによって、一連の残虐な事件が初めて発覚したのです。
 なんだかんだで大阪府警はよく叩かれますが、四国含む付近の警察よりはダントツに優秀ですからね。
 特にこの事件で被害者を救うことのできなかったのは、兵庫県警と香川県警ですが、兵庫県警の場合はさらに留置場で美代子の自殺を赦してしまいました。言語道断の失態と云えるでしょう。
 2012年12月12日、角田美代子が兵庫県警本部内の留置場で自殺したことによって、事件の全容解明は阻まれました。
 しかし、死亡時には事件性なしと警察に判断された事案でも、死亡時の経緯に疑惑のあったものも含め、一連の“角田美代子”グループの事件では、11人もの人間が死亡しているのではないかとされています。
 さらに著者が尼崎で執拗な取材を重ねたところ、忘れさられたまま行方不明になっている人間もいるのです。
 いったい何人が団子鼻のおばはんの毒牙にかかったのか?
 美代子が自殺した今、裁判中の他のメンバーが口を割ることはないでしょう。
 つまり、この事件の細部が一切合切明らかになることは、永久にないと思われます。

 結局は、人の家に上がり込んで脅し、恐喝し、監禁し、虐待し、殺したのですがね。
 2002年に福岡県で発生した北九州監禁殺人事件(被害者7人)と似ています。(『消された一家』カテゴリー事件・事故参照)
 著者の小野一光は、北九州事件の犯人であるサイコパス松永太と手紙のやり取りをしていたこともあります。
 私も先の松永太の事件の本は読んだのですが、被害者を洗脳というか掌握するというパターンは同じですね。
 同じ家族に家族を殴らせたり、密告させたりするところも似ています。
 ただ、私の感じたところでは、松永太のほうが100倍怖いような気がしますが。
 角田美代子の場合は、彼女は子供がなかったので、戸籍上養子としたり、全然血の繋がっていない“角田ファミリー”を形成していました。中でもマサこと李正則は体も大きく刺青も彫っており、美代子の暴力装置となっていました。
 美代子は1998年3月、49歳のときに初めて他人の家を乗っ取り、5千万をせしめることに成功します。
 これで味をしめたのかもしれません。
 シャブ中であり、節制も我慢も知らない美代子は、金がいくらあっても足りないくらいの浪費家でした。
 鋭い洞察力で自分の虚勢が通用する相手だと思うと、自分の背後に常に暴力団の影をちらつかせながら、恫喝し、難癖をつけて金を脅し取るのです。ま、ヤクザですわな、やることは。
 一度、相手にヤクザの知り合いがいたらしく、このときは態度を豹変して謝罪したそうですから、自分の力の及ばないところには決して手を出しません。
 最後に喰い物にした、主人が私鉄社員だった川村家なんて縁もゆかりもないのに、電車の扉でベビーカーを挟まれたと因縁をつけて知り合うと、家に居座って傍若無人の限りを尽くしました。
 気が弱くて金を持っている人間が獲物となったのです。

 ちなみに、角田美代子の5歳下の弟である月岡靖憲は、弁護士から約3億円を恐喝し、懲役14年の実刑を受けました。
 グリコ・森永事件の重要参考人として取り調べを受けたこともあるそうです。
 血は争えませんねえ。

 その他の感想として、読み始めは非常にわかりにくいですが、これは著者のせいではありません。
 この事件自体が、様々な人間が入り乱れ、非常に人間関係が複雑であるからです。
 人物相関図や時系列表なども添付されており親切ですが、それでもややこしいことに変わりはありません。


 

「転迷 隠蔽捜査4」今野敏

 毎度毎度期待を裏切らない、隠蔽捜査シリーズ、第4弾。
 私の嗜好に合っているのかなあ、妙に面白くて仕方ないです。
 シリーズ4作目にして、今更ながらに気づいたんですが、竜崎伸也って幕末の志士・大村益次郎に似ていますよね。
 司馬遼太郎の書いた「花神」の主人公、軍神・大村益次郎にそっくりな気がします。
 唐変木だし、受け答えもトンチンカンで協調性はありませんが、原理原則を貫き、非常に優秀です。
 家に帰って缶ビールを1杯だけ飲むという習慣も、家に帰ると必ずお銚子1本だけ飲んだ大村と同じです。
 これひょっとしたら、敏さん、そのつもりで書いているんじゃないかな。
 私だけのデジャブじゃないような気がするんですけどねえ。
 だとしたら、靖国神社に立っている大村益次郎は私の非常に好きな人物なので、この小説が好きなのも然りです。

 さて、本作のあらすじです。
 ちょっとだけ、今までよりはややこしいかもしれません。
 といっても大沢在昌みたいに書いている方もわからなくなるような伏線が混線したようなことにはなりません。
 あくまでも、スリリングなサスペンス性アリいの、基本的には竜崎の生き方仕事ぶりを楽しむ、ということで問題ありません。
 というのも、今回は竜崎の元に、長年警察と確執が続いている厚労省の麻薬取締まり本部(通称・麻取り)が怒鳴りこんできますし、私は知らなかったんですが外務省にも情報のプロみたいな人間がいるのですねえ、国際情報官室の職員と陰険な交渉をするハメになりますし、身内の警視庁からは交通捜査課長がやって来て、様々な嫌がらせをしてきます。
 反面、終盤では、あれほど折り合いが悪かった第2方面本部の野間崎管理官が活躍したりします。
 盛りだくさんな内容ですが、結局、1本の線に繋がっていき、そしてその先には・・・
 とんでもない大物が! 
 総合情報分析室“ゼロ”を統括する公安の重鎮を追い詰めた竜崎。彼に未来はあるのでしょうか!?

 まず、竜崎が署長を務める大森署の隣の大井署管内で殺人事件が発生。
 殺害された被害者の身許は、外務省中南米局南米課の職員でした。
 そして大森署管内でブレーキ痕のない、悪質なひき逃げ事件が発生。こちらは外務省のOBが被害者でした。
 さらに、大森署生活安全課が、麻薬の売買の捜査をしていて厚労省の麻取りとトラブルに。
 これは警察をなめきっている厚労省地方厚生局麻薬取締部の矢島滋という人物が、大森署に怒鳴りこんできます。
 ひき逃げ事件の捜査本部は大森署に立ちますが、指揮を執る本庁の交通捜査課長・土門欽一は、執拗に地元である大森署の捜査員を捜査本部に使おうとします。しかし大森署にその余裕はありません。戸高ら刑事課強行犯係は、管内で連続している不審火の捜査に追われており、ひき逃げ事件の捜査どころではないのです。
 大井署の外務省職員殺人事件の指揮を執っている本庁刑事部長の伊丹は、公安の横槍とガードの固い外務省に手を焼き、日課である判を押す暇もない竜崎に助言を求めてきます。
 さらにプライベートで、娘の美紀と付き合っている三村忠典がカザフスタンで墜落した飛行機に乗っていたという噂が・・・
 次から次へと懸案事項が増えていく竜崎。
 麻取りの恫喝を突っぱね、陰険極まりない外務省の情報官と丁丁発止のやり取りは、はたして成功するのでしょうか?

 シリーズを重ねるごとに面白くなっているような気がしますね。
 仲は良くないだろとは思ってましたが、同じ司法警察職員である厚労省の麻薬取締部がこれほど立場が強いとは知りませんでした。警察に対するイジメですよ、ほぼ。
 ラストは格好良かったです。俺は大森署署長、一国一城の主だ! おまえの軍門には降らん!
 さすが竜崎、天下の唐変木。


 竜崎美紀 忠典との交際は一進一退。でも、なんとなく結婚しそうな気がする。
 野間崎政嗣 ついにフルネームで登場! 後半は竜崎の片腕となって、憎まれ役から転身か!?
 伊丹俊太郎 相変わらず正念場で腹の座らない、仮面の刑事部長・・・公安の影にビビる。
 戸高義信 助っ人の本庁捜査一課をこき使うなど、変わらぬ変人ぶりだが、今回も活躍


 
 
 
 

「内心、『日本は戦争をしたらいい』と思っているあなたへ」保阪正康・東郷和彦ほか

 難しいですね。
 確かに、国のために死ななければならないときもあるし、そういう生き方もあるでしょう。人間いつかは死ぬのだから。
 私は基本的に戦争は反対です。国益にも、個人益にも大損しますから。戦費は消費税40%でも足りないでしょう。
 日本が戦争したらアメリカの軍需産業ぐらいですよ、儲かるのは。
 兵隊ひとり死んだら何千万、戦闘機1機堕ちれば何百億という税金が泡と消えます。
 鉄砲の弾だってタダではないのですよ。
 居酒屋で酒に酔って中国や朝鮮と戦争するとほざいているのがいるでしょう、もし紛争でも起きればあいつらに自ら行ってもらう前に、「中国の鉄砲に当たって死んでも補償費は要りません」と一筆書いてもらわねばなりません。
 それで腹巻きに安物の爆弾でも入れて、尖閣の沖合にでも機雷の代わりに浮いてもらえばいいのです。 
 それならそれほど税金は使わなくて済むかもしれません。
 愛国心=戦争ではありませんからね。本当の愛国者ならば、絶対戦争はしてはいけない!と言うはずです。
 それに、永遠の0を観て泣いているような脆弱な国民性では、とても戦争になんて勝てません。
 多くの戦史・戦記を読むごとに思うのは、日本人は戦争に向いていない、ということです。
 戦後日本は、約70年間も戦争をするという準備を怠ってきた世界でも珍しい国です。ぜい肉がたまっているのです。
 いざ戦争となると、ぜい肉だらけの体でいきなり100メートルを全力疾走するようなものです。
 よくて肉離れか、アキレス腱断絶、ヘタすると心臓が止まるかもしれませんね。
 かけ声だけで戦争はできません。今度負けると、日本という国はなくなるかもしれませんよ。
 それでも戦争がしたいという方は、よほどのバカか、アメリカのスパイか、自殺願望者でしょうね。

「軍事衝突が現実化すればどうなるか」保阪正康
 戦争は、国民の生活と安全を守るという基本原則を忘れた政治家と、扇動に踊るレベルの低い国民によって起こる。
 国民が踊る原因は、「知的思考力の放棄」と「情念主体の発想」である。日本は「戦争」を想定した国づくりを、この68年間まったく行ってこなかった。

 「情念主体」というのは感情戦争論でしょうね。戦争、戦争と言う前に中国、韓国製品は買わないなど、できることはたくさんあるでしょう。韓流を絶対に観ないとかね、中国には旅行死んでも行かないとか。
「中国の領海侵犯には、責任ある平和主義で対処せよ」東郷和彦
 尖閣諸島とその海域に対する中国の侵入は現下の国際社会を構成する規範に立てば、決して許すことはできない。
 領海侵犯を繰り返す中国の海洋巡視船をなぜ撃沈しないのか。なぜ二重基準があるのか。
 戦争が終わって67年、「左からの平和ボケ」の時代は終わった。

 二重基準とは、もし日本の巡視船が竹島や北方領土を侵犯すれば、まず撃沈されるだろうからです。
 ところが日本は、中国の監視船が領海に入っても攻撃できないんですよ。基準が二重ですよね。
「中国共産党の現実と、そのアキレス腱」富坂聰
 2012年の春頃から日中関係は危険な兆候。日本がフィリピンに軍艦を支援するという話に中国の世論は激昂したが、ほとんどの日本人はこの怒りに気づいてなかった。中国から見れば、世界の超大国アメリカとその取巻き(日本やフィリピン)による中国包囲網にしか見えないのだ。中国の現状は「貧すれば、民、乱を思う」。貧富の格差が中国の現実であり、中国の顔は一触即発的な民意に支配され始めている。
 13億人もいれば、社会保障は成り立ちません。戦争をしなくても、中国は瓦解する可能性があるのです。
「これからの世代が考える、新しい国」宇野常寛
 憲法を改正し、自衛隊を国防軍と位置づけ、日本の安全保障を整備する。
 その反面、過去の侵略戦争を反省し、国益の追求を目的とした武力の行使をしないことをアジアの諸外国に改めて宣言する。靖國神社への公式参拝は禁止にして、共同追悼施設を設けて8月15日にそこで式典を行う。
 天皇制は廃止でもかまわない。

 新しいリベラルを代表する考え方らしいですが、賛成できるところもあるのは確かです。
 政策も是々非々というのはもっともで、国会議員一人一人意見が違って当たり前です。
 ヤクザじゃないんだから、政党という団体に縛られることはないでしょう。
「安倍政権の外交面、軍事面の課題」江田憲司
 武力行使が国際法上許されるのは「自衛権の行使」と「国連決議による場合」に限られる。
 1991年の湾岸戦争に自衛隊を派遣すべきで、イラク戦争には派遣してはいけなかった。逆である。
 湾岸戦争では、130億ドル(国民ひとり1万円)もカネだけ払わされて、全世界に大恥をかいた。
 イラク戦争は、今ではアメリカやイギリスさえ「間違っていた」と反省しているのに、日本はイラク戦後の総括がない。

 この方、橋本龍太郎の総理秘書官だたったのですが、ずいぶん橋本を持ち上げています。
 なんでも橋本龍太郎は、1周間で本を10冊読んでいて、その教養が外交に大いに役立ったと書いてあります。
「エセ愛国はなぜはびこるのか?」鈴木邦男
 45年前、圧倒的な全共闘に対して右翼学生だった私が叫んでいたことを、いまさら叫んでいる世論を哀れに思う。
 皆、安全圏から叫んでいるだけだ。言葉だけが過激で、言葉に縛られ、酔っている。
 戦争が始まったら、一切の問題が解決されるというという考えは、幻想である。
 愛国心の無理強いはいけない。同じように日の丸や君が代の強制も、その品位を貶めるだけである。

 さすがです。この価値観は正しいと思います。自発的に芽生える冷静な感情こそ、本当の愛国心であるでしょう。
「メディアに生まれている奇妙な潮流」金平茂紀
 戦時中の報道機関は、真実を伝えない、戦争遂行を主導する翼賛機関だった。
 いま、メディアは、内心「日本は戦争をしたらいい」という方向に行こうとしている。
 領土問題は短絡的にナショナリズムに結び付くが、メディアはこれに追随しているのではないか。

 ま、現状でこれは仕方ないでしょう。商売もありますからね。メディアに煽られても信じない冷静さこそ鍛えられるべきでしょう。ただしメディアは、従軍してもいいので客観的な真実は漏らさず伝えるべきです。
 海上保安庁の巡視船に乗るべきです。
「危うい主権喪失国家。民主主義の成熟度問う沖縄」松元剛
 2012年、野田政権による尖閣の国有化によって起こったこの騒ぎだが、その県域である沖縄は蚊帳の外に置かれている。沖縄は長らく、米軍が起こす事件や事故に人権を脅かされ続けている。
 2004年8月13日、米軍の大型ヘリが沖縄国際大学に墜落した時、県警、消防は海兵隊に現場から閉めだされた。
 主権を持つはずの「日本」は現場に入ることさえ許されなかったのである。
 オスプレイは、尖閣に着陸はできない。

 沖縄の報道というのは、カーテンに閉ざされているような気がします。
 沖縄の真実というのは、我々の元にすべてが届いているのでしょうか。
 太平洋戦争で悲劇の戦場となった沖縄。今もまた、その立場を忘れ去られたまま、日本と中国の火花散る真下に放り出されようとしていませんか。


 
 
 
 
 
 
 
 

「第二水雷戦隊突入す」木俣滋郎

 昭和19年12月20日午前8時19分 打電
 発 南西方面艦隊司令部
 宛 第二遊撃部隊指揮官
 『ミンドロ島南岸サン・ホセ突入作戦を実施すべし。指揮官は第二水雷戦隊司令官とす。
  兵力は駆逐艦4~6隻に巡洋艦1~2隻をつける。
  突入期日、12月22日以降なるべくすみやかに夜半の突入。
  なお航空部隊は付近艦船の偵察速報ならびに突入時の敵照明を行って艦隊に協力の予定。
  本作戦を礼号作戦と号す』

 水雷戦隊突入せよ!( ・`ω・´)
  
 最後の艦隊艦砲射撃と云われる、いわゆるミンドロ島殴り込み、礼号作戦はあまり知られていません。
 簡単に言えば、木村少将率いる水雷戦隊が、フィリピンのミンドロ島に出来たばかりの米軍基地をボコボコにしたのです。
 しかしことは言うほど簡単ではありません。それは至難の業でした。
 この2ヶ月前(昭和19年10月末)にレイテ沖海戦で日本海軍は大敗し、ほぼ壊滅しました。
 礼号作戦は、南方に残ったわずかな残存艦艇をかき集めて強硬されましたが、参加艦艇はわずか8隻。
 重巡「足柄」、軽巡「大淀」、駆逐艦「霞」「清霜」「朝霜」、護送駆逐艦「榧」「杉」「樫」、以上。
 「清霜」と「朝霜」は重武装の新鋭駆逐艦でしたが、船団護衛用の護送駆逐艦3隻は武装が貧弱な上に鈍足でした。
 この寄せ集め艦隊を指揮したのは、奇跡のキスカ島撤退で名高い、水雷戦の専門家・木村昌福少将。
 三国志の張飛のようなヒゲを生やした、豪将でもあり智将とも云われる方です。
 バカが多い(宇垣やら栗田やら)海軍の提督では、非常に優秀な実戦家です。
 実は海軍兵学校41期(大正2年卒)の木村は、120人中110位という席次だったらしいですがね。ほぼ落ちこぼれですな。
 そのために、中央で指揮をとるようなこともなく、戦艦や空母など大型艦に乗ることもありませんでした。
 しかし、ドサ回り的といってはなんですが、駆逐艦、水雷戦隊が性に合っていたのでしょうね。
 今回の殴り込み作戦でも、旗艦を一番大きい足柄に取らず、乗り慣れた駆逐艦の霞に木村は乗り込みました。
 そして、艦隊の劈頭に立って進撃、熾烈な敵航空機の爆撃にもめげず、帰路は旗艦自ら沈没した清霜の乗組員救助に急行したのです。木村がいたからこそ助かった命もあり、連戦連勝で勢いに乗る米軍と互角に戦闘ができたのです。
 著者の木俣滋郎は、戦後木村が亡くなる1年前にインタビューしています。
 残念ながら木村昌福の名が高まったのは、彼の死後であり、礼号作戦も当時はほぼ忘れ去られていました。
 日本海軍が最後の力を振り絞って米軍基地の鼻先まで殴りこんだこの作戦、敵船団が到着する前後の間隙だったために、戦果は芳しいものではありません。しかし、レイテ沖海戦で意気消沈した海軍の意気を高しめた、日本海軍の意地を見せたということで、その意義は非常に大きかったと思うのですね。
 木村昌福という優れた水雷屋が、部下の命を一人たりとも無駄にしない方だっただけに。

 ミンドロ島はフィリピン最大の島であるルソン島の南に位置します。
 当時フィリピンにおける陸軍の最高指揮官であるマレーの虎こと山下奉文大将は、ルソン決戦を目論見、ミンドロ島は捨てていました。かわいそうですが、ミンドロ島には装備の貧弱な守備隊が500名弱いるだけだったのです。
 しかし海軍にとっては、南シナ海に面するミンドロ島をもしアメリカに取られて、ここに飛行場でも作られると、南方から内地に向かうタンカーなど輸送船団がたちまち敵航空機に襲われる危険性が高まります。
 ただでさえ敵潜水艦のためにどんどん輸送船は沈めれているのに、ミンドロからの哨戒攻撃が始まると、海軍は窒息状態になるのです。
 一方、アメリカ軍の方はというと、レイテ島での激しい戦いで、日本軍に対してマニラからの輸送船が補給活動をしていることを知り、この補給線を断つ目的でミンドロ島を占領して飛行場を作る計画がありました。
 そしてレイテ島からいきなりルソン島に上陸するのではなく、12月15日に日本軍の裏をかいてミンドロ島に上陸しました。その数、2個連隊1万2千人および基地設営隊などを含めると1万6千人。もちろん無血上陸です。
 これに対して日本軍は、12月20日に礼号作戦を発動します。時既に遅いんですけどね。
 ただ、木村艦隊がミンドロ島に殴りこんだ次の日には、アメリカの第3次輸送船団が到着するはずでした。
 運がもっと良ければこれを叩けたかもしれません。しかし、ちょうどアメリカの空母艦隊が留守だったことを考えれば、海軍機に襲われると壊滅していた可能性もあるので、運不運は相殺されていると私は見ます。
 航空機の直衛もなく、駆逐艦を主力としたわずか8隻足らずが敵前まで殴り込むのですから、本来滅茶苦茶です。
 元来、水雷戦隊というのは4隻よりなる駆逐隊を2~4隊集めて構成されるものです。
 だから8隻というのは最小構成数ですね。もっとも、これだけしか海軍は動かす力が残っていませんでした。
 これだけすら、歴戦の給油艦である日栄丸がいなければ燃料さえ足りませんでした。
 石油基地の近い南方でこれですからね。
 
 仏印インドシナのガムラン湾から南シナ海を横断、ミンドロ島までは700浬、18ノットで片道2日余。
 敵潜水艦の哨戒網はくぐり抜けましたが、到着7時間前に敵機に捕捉されると、執拗な爆撃を受けました。
 清霜は撃沈し、足柄も操縦士の死によると思われる敵機の体当たりを受け、激しく損傷しました。
 いや、木村少将が座乗する旗艦の霞が一番元気でしたが、それでも無傷な艦はいませんでした。
 目指すミンドロ島サンホセには魚雷艇が待ち構えており、手負いのまま、これにも対応しなければなりませんでした。
 しかし、それでも、12月26日夜半から27日零時過ぎまで艦隊は縦陣となり、貨物船に対しては雷撃、基地や集積物に対しては、砲身も焼けよとばかりに胸のすくような艦砲射撃をお見舞いしたのです。
 ちなみに、アメリカ軍は日本側が上陸作戦を決行にきたと思っていましたから、後手に回りました。
 そして日本艦隊を攻撃すべき魚雷艇は、友軍機からの執拗な誤爆を受けてんてこ舞いしていたようです。

 帰路につくと、旗艦「霞」は「朝霜」とともに別行動を取り、沈没した「清霜」の救助に向かいました。
 敵航空機が追ってくるのは覚悟した上で、ですよ。
 そして、342名の乗員中258名の救助に成功したのです。
 戦果が少ないといって評価されないこともある礼号作戦による水雷戦隊の突入ですが、危険を冒して木村少将が決断した、この救命作戦こそ、何よりの戦果だったのではないでしょうか。
 縁の下の力持ち、水雷屋の根性と団結力が生んだ奇跡だったと私は思いますね。


 
 
 
 
 
 
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